[PR]

 中学校で弁当持参と外注のデリバリー型給食を併用する東京都町田市が、「全員給食」へ見直す議論を始めた。これまで親側から全員給食を求める請願が出ても、「手抜きだ」との声が出るなど市議会も市長も長年後ろ向きだったが、コロナ禍でデリバリーでの給食提供に支障が出たこともあり、方針を転換した。

 町田市では、小学校は自校で給食を作るが、小中一貫の1校を除く中学校19校では「弁当併用外注式」。2005年度からで、それ以前は弁当のみだった。

 保護者の負担軽減を求める声を受け、給食も併用できるようになったのに、利用率は低迷。昨年度は9・6%と1割にも満たなかった。なぜなのか。

 要因の一つは、デリバリー式にある。食中毒を防ぐために冷たい状態で提供され、量の調整ができない。市は昨年度からご飯だけ保温提供に改め、試食会を開いてPRに努めたが、利用率向上どころか、前年度より下がった。生徒らへのアンケートでは「おいしくない」との指摘が多く、「クラスで給食が10~19人いると頼みやすい」との回答も目立つ。少数派になるのを避けたい心理が透ける。

 もう一つ指摘されるのが学校側の姿勢だ。

 保護者らでつくる「中学校によりよい給食とどけ隊@町田」の聞き取りでは、多くの人が入学時に「弁当を持って来られない人は給食の申し込みを」と言われたという。斉木千夏さん(41)は「弁当持参が前提で、保護者は弁当作りの『踏み絵』を踏まされる。共働きやひとり親の家庭には厳しい」と訴える。

 斉木さんらはこれまで小学校と同様の給食を求める請願を市議会に提出してきた。18年12月に提出した署名は2万3168人分を数えた。だが、女性市議が「(私は)お弁当を作りたい」と述べ、男性市議が「(全員給食は母親の)手抜きだ」と発言し、請願は不採択に。石阪丈一市長(73)も、「10年間、実質父子家庭で、弁当を毎日作った」「教育の原点は家庭」などと議会の場で持論を述べている。

 だが、コロナ禍で業者まかせの弱点が露呈する。今年6月に学校が再開して分散登校が始まると、配達時間をずらしたり、簡易的な給食に変更したりと柔軟な対応ができなかった。昼食なしで下校させた学校もあった。利用促進策が効果を上げていないこともあり、石阪市長は9月、「この機会に大きく見直す」と市議会で表明した。

 市教育委員会によると、現行のデリバリー業者では生徒の4割分しか調達できない。全員給食には複数の給食センターが必要だが、一つ30億円程度かかる建設費や土地の確保が課題で、実現にも数年かかる。

 市教委は有識者らでつくる協議会に給食提供方式の議論を諮問。今月23日の会合では、どんな方式が最適か議論した。市は来年1月に答申を受け、具体的な見直しの検討に入る。(前川浩之)

弁当併用型給食の利用率(2019年度)

町田市=9.6%

八王子市=22%

立川市=44%

国分寺市=79%

東久留米市=53%

東村山市=50%

※各市調べ

     ◇

 都内の弁当併用給食実施自治体 都教育委員会によると、町田市のほかに5市ある。八王子、立川両市は給食センターを整備して将来的に全員給食に切り替える方針。国分寺、東村山、東久留米の3市は利用率が5割以上だ。東久留米市ではおかわり分を温かいままで準備し、八王子市は温かいカレーやスープを提供する日を設けている。