【動画】回収したごみを運ぶ移動モジュール開発のための実地検証があった=鵜沼照都撮影
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 山形県内唯一の離島・酒田市の飛島で、海岸に漂着したごみを自動回収するロボット作りのプロジェクトが始まっている。11、12の両日には、島西部の荒崎海岸で、回収したごみを運ぶロボット開発のための実地検証が行われた。

 プロジェクトは、飛島を拠点に活動する若者たちが作った「合同会社とびしま」と、仙台高専(仙台市)の園田潤・総合工学科教授の研究室などが10月に立ち上げた。

 両者は今秋、優れた海洋ごみ対策を選ぶ「海ごみゼロアワード2020」(日本財団、環境省主催)をともに受賞。これをきっかけに交流が生まれた。

 飛島は人口180人で、島民の平均年齢70・9歳(9月時点)。過疎化と高齢化が進む「限界集落」だ。そんな中、とびしまは、様々なハイテク技術を組み合わせて離島特有の課題を解決する「ウェルテック(幸せな暮らしの技術)」の創出をめざす。

 漂着ごみの回収ロボ、ドローンを使った荷物配送、水中ドローンを使った新しい漁師像――。アイデアは豊富だが技術的な裏付けがあるわけではなく、それらの実現には専門家の協力が必要だった。

 一方、園田研究室は近年、地中レーダーとドローンに人工知能(AI)を組み合わせ、海岸に埋まったプラスチックごみを検出する研究などを続けてきた。道路や堤防、橋などインフラの自動点検ロボットも開発中で、とびしまのアイデアは同研究室とつながったことで急速に動き始めた。

 プロジェクトには、酒田市の農機具メーカー「石井製作所」も参加。同社が農業用に開発した遠隔操作型の小型運搬ロボット「RTL(リトル)初号機」を島に持ち込み、走行テストをした。

 足回りに無限軌道を装着した全長78センチ、幅82センチ、高さ49センチで重さ57キロのリトル初号機は、漂着ごみや石が散乱する海岸、雨でぬかるんだ遊歩道などを難なく走破。漂着ごみが入ったごみ袋を載せ、海岸から道路までの標高差が50メートル近くある急な坂道も登り切った。プロジェクトでは、今回の検証を踏まえ、同機の改良を進めていくという。

 とびしまの松本友哉共同代表は「(ボランティアが漂着ごみを回収する)毎年のクリーンアップ作戦でも、ごみの運び出しには急な坂道しかなく苦労している。運び出しだけでもロボットに任せられれば大きな前進になる」と期待している。(鵜沼照都)

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