聞き手・鈴木拓也
米国のバイデン次期政権の発足後、隣国の韓国は、対立を深める米国と中国のはざまでどのような外交を展開するのか。韓国で中国外交を研究する李熙玉・成均館大教授(60)に聞いた。
――文在寅(ムンジェイン)政権は、米国との同盟関係を重視する姿勢を示す一方で、中国との関係にも神経を使っています。
「韓国の貿易輸出のトップは中国で、全体の4分の1を占める。貿易依存度で比べれば、韓国が日本よりも中国の意向に敏感にならざるを得ないとわかる。2017年に米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD〈サード〉)が韓国に配備された際には、反発した中国から経済的な報復を受けた。中国への外交安保政策が経済リスクにつながることを経験した韓国は、中国にTHAADの追加配備はしないと約束した」
――米ロによる中距離核戦力(INF)全廃条約の失効を受け、米軍は陸上配備型の中距離弾道・巡航ミサイルのアジア配備を模索しています。
「仮に、核搭載が可能な中距離弾道ミサイルが韓国に配備されたら、中国の反発はTHAADの比ではない。中国側から様々な圧力を受け、韓中関係は非常に危険な状況に陥るだろう。韓国大統領府の高官は国会で、中距離核ミサイルの配備について米国と議論しておらず、検討をしたこともないと明言した。米国から打診されても、応じることはできないだろう」
「バイデン次期政権の対中政策はまだ明確ではないが、韓国は米国主導の対中包囲網の枠組みには参加しづらい。バイデン次期政権が中国を牽制(けんせい)する同盟、民主主義同盟を強調して、日本が入る(日米豪印の)「クアッド」に韓国の参加を求めてきた場合も、文政権は受け入れがたい」
――香港やウイグル族をめぐる中国の人権問題について、文政権は批判のトーンが抑制的と感じます。
「韓国は民主化運動を経験した…
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朝日新聞国際報道部