コロナ禍 救急病院のクリスマス
埼玉県三芳町の「ふじみの救急病院」では、入院中の15人全員が新型コロナウイルス感染症患者だ。
鹿野晃院長は新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため病床数を増やし、1日、それまでの診療所から新たに病院を開設した。
看護師らは肺機能が著しく低下した重傷患者が呼吸しやすいよう定期的に体位を変えたり、認知症など見守りが必要な中等症患者の介助にもあたる。臨床検査技師は看護師とともにPCR検査を担い、救急救命士らは救急搬送のほか、検査の受け付けや保健所への連絡なども行っている。
クリスマスイブの24日も、発熱外来で肺の画像を撮影する放射線技師や臨床工学技士など、スタッフが総出でコロナ患者の対応にあたっていた。
病院には夕方、心温まる贈り物が届いた。男児連れの父親が訪れ「息子が、クリスマスに渡したい、と言っていて」。サンタやツリーが描かれた絵と、硬貨の入った貯金箱。絵の裏側には大きく「メリークリスマス」と男児の名前が記してあり、医療従事者への感謝がつづられた父親からの手紙には「家の子(5歳)が、3歳から貯(た)めている貯金箱を寄付して、医療の道具に使ってほしい、とのことです」とあった。
受付のスタッフが看護部長を呼びに行こうとすると、父子は遠慮するそぶりですぐに帰ってしまった。
看護部長の板垣光純さん(43)は「たまっていた疲れが吹き飛ぶぐらい嬉(うれ)しい。こんな素敵なプレゼントを届けてくれて、僕たちこそ感謝を伝えたい」と話した。
同院の発熱外来は年末年始も24時間受け付けている。「入院患者の重症度とともに、医療従事者にかかる負担も増えているが、一丸となって対応している。症状のある人は迷わず来てほしい」と鹿野院長は話す。(川村直子)
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