【動画】キリスト生誕の地、寂しいクリスマス=高野遼撮影
[PR]

 クリスマスを迎えたキリスト教の聖地が、閑散としている。新型コロナウイルスの感染拡大で都市封鎖が相次ぎ、祝祭の光景をも変えてしまった。

 キリスト生誕の地とされるパレスチナ自治区のベツレヘム。例年、クリスマスツリーやミサを目当てに世界中から人々が訪れるが、今年は世界遺産の聖誕教会前で光り輝くツリーの前も人影はまばらだ。地元の人たちが写真を撮り合う姿がちらほら。風船を売り歩く男性は、手持ちぶさたに階段に腰掛けていた。

 3人の子供を連れ、23日に訪れたムハンマド・スベイさん(32)は「毎年来ているけれど、こんな状況は初めて。普段は広場は人でいっぱいになるんだ。ウイルスがすべて変えてしまった」。

 パレスチナ自治区やイスラエルでは感染拡大を防ぐための都市封鎖が断続的に続き、外国人観光客が訪れることが難しい状況が続いている。聖誕教会に隣り合う聖カテリナ教会で24日夜に開かれるミサも、今年は聖職者しか参加できなくなった。ミサの様子はオンラインで中継されるという。

 ベツレヘムの観光業界にとっても12月はかき入れ時で、コロナ禍の打撃は大きい。ホテルで働くムハンマド・サラーさん(24)は3月以降、勤務先が閉鎖し、仕事がないという。「本来はこの時期、ホテルはどこも満室なのに」とため息をつく。

 周辺の商店街でも、扉を閉ざしたままの店が並ぶ。土産用のネックレスなどを売るマフムード・ラバハさん(27)は「売り上げは90%くらい落ちた。いまは日雇いの仕事でなんとかやっている。来年は少しはましになることを願うよ」と語った。

 約13億人の信者がいるローマ・カトリックの総本山、バチカンにある広場は24日午前、警察官以外にほとんど人出がなくなった。

 例年なら、サンピエトロ大聖堂前の広場に立てられたクリスマスツリーとキリスト生誕の場面の模型「プレゼピオ」に、多くの信者や観光客が詰めかける。だが今年は24日にイタリア全土で都市封鎖が始まった。

 広場では、通りかかった散歩中の人や聖職者にも、警察官が「立ち止まらず移動して」と目を光らせる。あらゆる外出には行き先などを書いた申告書が必要で、イタリアのカトリック教会は、国内の信者に対し、近所の教会でクリスマスのミサに参加するよう呼びかけている。ローマにある教会の神父パウエル・プルスツィンスキさん(53)は「クリスマスを家族で祝うことを忘れないで欲しいが、今年は新型コロナに苦しむ世界中の人を思い、みんなで祈りたい」と話した。

 バチカン報道室によると、フランシスコ教皇(84)が執り行うクリスマスイブのミサも、大聖堂に入る聖職者らを最小限に絞るという。イタリアでは午後10時から夜間の外出が禁止されているため、開始時刻を2時間早めて午後7時半からとした。(ベツレヘム=高野遼、ローマ=河原田慎一)