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 世界遺産・二条城(京都市中京区)の二の丸庭園(特別名勝)に、傘を重ねた触手のようなオブジェが登場し、来場者を不思議がらせている。実はこれ、「冬化粧」をした南方系の植物のソテツ。全国でも珍しいスタイルで防寒対策を施され、春を待つ。

 二条城のソテツは1株だけ。江戸末期の15代将軍、徳川慶喜の時代の写真にも同じ場所で写っていた。元離宮二条城事務所によると、当時と同じソテツかその子孫の可能性がある。

 冬化粧は11月下旬から、1週間ほどかけて施された。広がった葉を縄でまとめてこもを巻き、その上から300~350のわら束を重ねて傘を作り、はさみで長さをそろえる。機械で一気に刈ったわらは折れたものが多いため、手で刈ったものを使う。夏前から探し、福井県と京都府でなんとか確保したという。

 同事務所によると、1939年に二条城(当時は二条離宮)が宮内省から京都市に下賜(かし)された時に既に実施されていた手法だが、いつ始まったかは分かっていない。30年近く携わってきた同事務所の園芸員、浦松晃伸(てるのぶ)さん(56)は「いかに美しく見せられるか。毎年大変だが、しっかり守っていく」。見られるのは来年3月末ごろまで。(向井大輔)