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 コロナ下であっても、恋人同士は「聖域」だと思っていたのに――。作家の金原ひとみさんは2020年の恋人たちを小説に描きました。執筆に向かわせたのは、人を狂わせるような社会の「正しさ」や閉塞(へいそく)感だったと言います。

 恋愛はコロナ禍の中での「聖域」であるはず。私は、そう思っていました。さまざまなことがオンラインに切り替わり、「人に会うな」「マスクをつけろ」「会食するな」と言われるなかでも、恋愛相手となら、直接触れあうことが許されるはずだと。

 1983年生まれ。デビュー作の「蛇にピアス」で04年の芥川賞を受賞。20年、文芸誌「新潮」にコロナ禍での恋愛を描いた「アンソーシャルディスタンス」と「テクノブレイク」を発表した。エッセー集に「パリの砂漠、東京の蜃気楼」

 でも実際には、家族だけが「聖域」と考える人が多かった。2020年5月に発表した小説「アンソーシャルディスタンス」には、恋人と出かける息子を「不要不急の意味分かってる?」と批判する母親が出てきます。「家族とは密に接してもいいけど、それ以外はだめ」という規範です。カップルと、大人になった息子と母、どちらの方が互いにとって近しい存在なのか。人によってこの解釈には大きな差が出ることを、私も痛感しています。

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 コロナ禍の中での恋人たちの物…

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