昨年5月に母を見送った阿川佐和子さんは、オンラインの面会と葬儀を体験しました。コロナ禍で「生きる」ことが最優先される中、みとりや葬儀は「不要不急」なのか。直接会って、触れられなくても人はつながることができるのか。話を聞きました。
実際に会えなくても、距離があっても、できることはある。母の死を通じ、私はそう実感しました。
母は昨年5月に他界しました。2月ごろから弱っていきましたが、感染対策で面会できない日々が続いていました。病院との電話のやりとりで様子を聞いてはいましたが、直接母の顔を見られないので、どうも不安になってしまう。
1953年生まれ。報道番組のキャスターなどを経て、作家やインタビュアーなど広く活躍。「ビートたけしのTVタックル」進行役を務める。「聞く力」や、父・阿川弘之氏についてのエッセー「強父論」など著書多数。
そんな折、ロサンゼルスに住んでいる上の弟が「オンラインで病室の母とつながろう」と提案してきたんです。弟にとっては、病室どころか、日本に来ることも不可能な状況でした。前例がなかったのですが、病院も「やってみよう」と検討してくださり、LINEのビデオ通話機能で2人の弟と母と私と同時にリモート面会をすることができたのです。
動いている母を見ることは、様子を聞くだけなのとは全く違いました。ああ、生きてるんだなぁ。うれしかった! 反応は鈍いけれど、「母さ~ん」と呼びかけることもできる。ものすごく安心感がありました。
最期には、実際に病室で立ち…

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