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 7月の記録的豪雨に見舞われ、熊本県山江村の養殖場で特産のヤマメ6万匹が全滅した。諦めかけた経営者に手をさしのべたのは、同じく被災した同業者らだった。その支えに希望を見いだし、経営者は再建への一歩を踏み出した。

 随所で路肩が崩れたままの村道を進んだ山あいにある山江村ヤマメ生産組合。1989年に創業した村唯一の養殖場だ。

 今月半ば。11ある養殖池のうち一つに、わずかに稚魚がいた。ヤマメのつかみ取り体験施設は跡形もなく、がれきだけが残っている。「全然、面影ないですね」。組合長の横谷俊治さん(65)はつぶやいた。冷え込みが厳しくなる中、稚魚にえさをやり始める時期を探って養殖池に目を凝らした。

 村出身の横谷さんは創業当初からここで養殖に携わってきた。かつて5人いた組合員は1人、また1人とやめ、2000年ごろからは横谷さんだけで事業を続けきた。常時5万匹ほどが泳ぎ回り、毎月4千~5千匹を隣の人吉市内の旅館などに出荷。夏休みの時期にはつかみ取り体験に訪れる親子でにぎわっていた。

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 豪雨が襲った7月4日未明。横谷さんは渓流の水を養殖池に導く取水口で、押し寄せる落ち葉や木々を取り除いていた。大雨の日はいつも1キロほど離れた自宅から来て養殖場に泊まり込む。この日も前夜から作業しながら、水の濁りが「いつもよりひどい」と感じていた。石も流れてきた。午前4時ごろ、取水口は完全に詰まり、流れは止まった。

 「魚は全滅するな……」。ヤマ…

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