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 一昨年トラブルが相次いだ空港の保安検査について、国土交通省は、乗客に検査を受ける義務があることを航空法で明記する方針を決めた。検査を拒否して保安区域内に入った場合の罰則を設ける。今年の通常国会に法改正案を出す見通し。

 国交省によると、刃物や危険物の機内への持ち込みは航空法で禁止され、罰則もある。だが保安検査は、機内に危険物を持ち込ませないようにするための措置として、航空会社と利用者との運送約款に書かれているだけだった。利用者が検査を拒んで保安区域に入ろうとしても、業務妨害などがなければ法違反に問うことはできなかった。

 法的な位置づけがあいまいなために説明がわかりづらくなりがちで、検査員の指示に従わない利用者との間でトラブルになることもあった。

 2019年は保安検査のミスが相次いだ。同9月には、大阪(伊丹)空港の全日空の検査場で、同社から検査を委託された警備会社の検査員がX線検査で確認した折りたたみ式ナイフを、誤って乗客に返して保安区域へ入れた。日本航空でも同12月、X線検査で見つかった小型ナイフを検査員が利用者に一時返却した。

 国交省は検査ミスが続いた背景に、乗客からのクレーム対応に時間をとられることで、長時間労働になるなど検査員の労働環境が悪化していることがあると分析。離職や人手不足の遠因になっていると見る。

 そこで、まずは保安検査が乗客の義務であることを航空法に明示することで、現場でスムーズに検査できるようにする。さらに、検査を拒否して保安区域内に入った場合や、検査を受けずにこっそり区域内に入った場合は法違反とし、罰則もつける。検査の義務化は、空港職員や乗員なども対象になるほか、預け入れる手荷物も対象になることを明記する。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で日本航空や全日空では国際線の運航は計画の約2割にとどまる一方、国内線は8割ほどが運航しており、保安検査も通常通りおこなわれている。

 国交省は今後、検査員の教育や処遇改善などについても、航空会社や空港と具体的な対策を検討していくという。(贄川俊