係留されたゴンドラが、流れにもてあそばれるように激しく揺れ始めた。運河から水があふれ出し、ひたひたと迫ってくる。石畳の広場はあっという間に水に覆われ、市民らが渡し板の上を足早に行き交う。12月1日、イタリアの「水の都」ではこの日も例年の光景が繰り返された。
世界的な観光地ベネチア。世界遺産のこの街が近年、相次ぐ高潮の被害に見舞われている。地球規模の温暖化の影響で冬場の高潮の頻度が増え、20年前には数年に1度だった大規模な浸水が、1年に何度も起きるようになった。
拡大する高潮で水に覆われたイタリア・ベネチアのサンマルコ広場。コロナ禍で観光客が激減し、マスク姿のカップルが広場を独占していた=2020年12月4日、ステファノ・ダルポッツォロ氏撮影
家や店の入り口に防潮板を立てても水が入り込み、大理石でできた歴史的建造物が塩害で内部から崩れていく。40年前に約10万人だった旧市街の人口は、約5万人にまで減った。
「自然環境を壊さずに、未来にどうベネチアを残すか。いま手を打たなければ街は死んでしまう」。ルイジ・ブルニャーロ市長(59)は危機感を強める。
高潮被害だけではない。年に1…
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