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 人と地球に優しい商品を求める消費者の声が、コロナ禍で強まっている。消費行動の変化を捉え、企業は環境に配慮した商品やサービスの開発を加速。注目が集まる環境分野に、巨額の投資マネーが流れ込んでいる。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、繊維・アパレル業界に大打撃を与えた。大量生産と在庫セールに頼るビジネスモデルは行き詰まりつつあったが、コロナ禍による休業や買い控えが追い打ちになり、大手のレナウンも今年倒産した。

Tシャツ1枚分に水2700リットル

 だが、衣料素材ベンチャー企業「hap(ハップ)」(東京都中央区)の鈴木素(もと)社長(43)の元には、アパレル大手やデザイナーから「『新素材』について教えてほしい」という相談が月30件ほど寄せられる。コロナ前の5倍以上だ。

 「新素材」とは、古着や布切れ、オーガニックコットンなどを原料にしたサステイナブル(持続可能)な繊維に、抗菌や消臭、撥水(はっすい)などの機能や耐久性を加えたhap独自の生地のことだ。素材の新しさだけでなく、製造過程で化学薬品を極力使わず、水や電力の消費を半分に抑える環境対応でも先行する。

 繊維・アパレル業界は大量の化学薬品や水、電力を消費する。WWF(世界自然保護基金)によると、Tシャツ1枚分の綿花を作るのに必要な水は2700リットルに上る。鈴木社長は環境への悪影響に胸を痛め、14年前に繊維商社を辞めてhapを設立した。

 サステイナブルな繊維を売りにするブランドは増えているが、機能や耐久性を持たせるには技術開発が欠かせない。hapは、新素材の開発をフィンランドの大学や信州大学繊維学部(長野県上田市)の宇佐美久尚教授(56)=有機材料化学=の研究室と共同で進めている。

 12月上旬、宇佐美教授の研究室を訪ねた。細長いガラス管に入れた青色の液体に光を当てると、徐々に無色になった。光を使って汚れを分解する光触媒の効果だ。これを応用して汚れが落ちやすい繊維を開発して衣服を作れば、洗濯を減らして長持ちさせられると宇佐美教授は説明する。宇佐美教授は「着た時の風合いは変えず、汚れの分解効果は高く保つ。鈴木社長が求めるハードルはいつも高い」と笑う。

 hapの新素材を使ったTシャツ1枚の原価は、平均的なものより数百円高いが、今年の販売実績は前年比の倍増ペースだ。hap製品を愛用する弘前大3年の斉藤拓海さん(22)は「その服がどうやって作られたかまで含めてファッションだと思う。おしゃれをするなら環境に優しい方がいい」と語る。

「環境に負担が少ない」「ゴミが出ない」など、SDGsの理念を取り込んだ商品の開発が進んでいます。H&Mやローソン、資生堂の取り組みを紹介します。さらに今注目の「ESG投資」も深掘りします。

H&Mが始めた「切り札」

 鈴木社長は「本気で環境問題に取り組まなければ、企業は時代にも消費者にも置いていかれる。アパレル業界は、製造過程も含めて自信を持って語れる服を、適正な量と価格で売るという考えにシフトしつつある」と指摘する。

 環境負荷が少ない商品を目指す…

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