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 32年前、もう一つの戸籍を得た。二つの戸籍を使い分け、働きながら生活保護費を不正に受け取ったとして、詐欺罪に問われた。「2人で1人なのか、1人が2人なのか。逮捕されてからずっと悩んでいた」。法廷で、熊本市の男性被告(61)は語った。

きょうも傍聴席にいます。
事件は世相を映します。傍聴席から「今」を見つめます。

 被告の本来の戸籍名は「ナカムラ」。これとは別に32年前、「キムラ」の名で新たな戸籍を得た。2016年から3年余りの間、キムラ名で運送会社で勤務し、給与収入約493万円を得ていた。その事実を熊本市の福祉事務所に届け出ず、出生時からのナカムラ名で市から生活扶助などの名目で計約424万円をだまし取ったとして逮捕、起訴された。

 12月4日、熊本地裁での初公判。青のシャツにベージュのズボン姿で臨んだ被告は、裁判官の人定質問に「ナカムラです」と答える一方、住所についてはナカムラ名の熊本市とキムラ名の別の住所をそれぞれ挙げた。起訴状の読み上げに続く罪状認否のなかで、「記憶障害」の過去を明かした。

 被告「だますつもりはまったくありませんでした」

 裁判官「詐欺になる自覚がなか…

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