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 「内山家」は二つの分野で世界を目標にしてきた。

 一つは、体操。次女の由綺(22)=早大=は東京五輪で2大会連続の出場を狙っている。

 母の玲子さんが先生を務める体操教室で、姉の海帆さん(26)と物心つく前から競技を始めた。海帆さんが大学からダンスに転向し、ダンス教室の先生になると、妹のゆか運動の振り付けや体の動かし方を指導するようになった。由綺は2人に支えられ、日本代表としてリオデジャネイロ五輪に出場。女子団体で4位に入賞した。

 4人家族。大学教授の父・一美さんだけは、体操についてあまり詳しくないようだった。

 由綺は「試合にはいつも応援に来てくれていたけど、私がどれくらいの実力とかは知らなかったみたい。オリンピックに出たときはびっくりしていました」と振り返る。

 そんな父にも壮大な夢があった。

 ノーベル賞だ。東京都立大で分析化学、マイクロ化学を研究していた。「細胞内に入れるロボットを作りたい」と話していたのを、由綺は覚えている。

 由綺は大学から一人暮らしを始めたが、日曜になると東京・町田市の自宅に戻り、家族で過ごすのが恒例だった。

 2020年8月20日の夜、1本の電話に言葉を失った。

 「今すぐ病院に来てほしい。お父さんが……」

 電話口で母が過呼吸のようにな…

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