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 和歌山県北山村特産のかんきつ「ジャバラ」を加工、販売する株式会社「じゃばらいず北山」が設立されて1年あまり。池上輝幸さん(49)は村職員から初代の社長に就任した。「春ごろはコロナ禍の荒波にもまれたが、民間の機動性を生かして乗り切れそうです」。そう自信を込める。

 村から車で30分ほどの三重県御浜町出身。1994年に村職員になった。当時、ジャバラの加工場はあったが売り上げは伸び悩み、「お荷物」的な存在だったという。2001年にジャバラ担当に就くと、ネット販売の「楽天市場」に着目した。「サイトに勢いがあり、村からの送料が安かった」。この年、自治体として初出店し、テレビの経済番組では「小さな村の挑戦」と取り上げられた。「花粉症に効果」とのモニター調査も打ち出すと、知名度が一気に上がった。01年度は5千万円だった売り上げは、昨年度は10倍近い4億7500万円に達した。

 村は、ジャバラ事業を民営化してより効率的な経営をしようと昨年、全額出資の「じゃばらいず北山」を設立した。今年4月に事業を始めたとたん、コロナ禍に見舞われた。3月末から4月の売り上げは急減。特に店への卸販売が、前年比で9割以上減った。従業員と話し合い、4月中に卸の製品を通信販売に振り替えた。これが功を奏し、今年度の売り上げは昨年度の約5%減にとどまると見込む。「素早く販売の方針を変えることができた。民営のよさが発揮された」

 民営化は、新しい加工品の開発にもつながった。粉末にした果皮を甘味料で包んだ新製品「じゃばらっ粉」を来年1月に発売する予定だ。これまでも粉末の製品はあったが、「苦くて食べにくい」と評価はいま一つ。そんな消費者の声を敏感に受けとめた。

 村は2年後、村内に新しいジャバラ加工場を建設する計画だ。飲料品はすべて村内で加工できるという。会社は次の飛躍が求められる。「村内で雇用を確保し、小さな村をもっと元気づけたい」と意気込んだ。(直井政夫)

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