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 県内の大学や企業でつくる「鹿児島ハイブリッドロケット研究会」(代表=片野田洋・鹿児島大大学院教授)は25日、小型ロケットの打ち上げ実験を肝付町岸良の辺塚(へつか)海岸で行った。ロケットは目標高度付近に達し、実験は成功。将来的な目標とする超小型人工衛星を軌道投入できるロケット開発に向け、貴重な一歩となった。

 研究会は2017年に設立され、鹿児島大(鹿児島市)や第一工業大(霧島市)の教員や学生、企業関係者ら約30人で構成。ハイブリッドロケットの開発・研究とともに、この分野の人材育成を進めている。

 片野田代表によると、ロケットでは、燃える物質である「燃料」とそれを燃やすための「酸化剤」を使う。従来のロケットは燃料と酸化剤が両方とも液体、または固体という組み合わせだった。一方、研究会が開発を進めるロケットは燃料が固体で、酸化剤が液体というハイブリッドタイプ。従来のロケットと比べて推進力は得にくいが、燃料が爆発しないため、安全・安心なのが利点という。国内では北海道大なども研究を進めている。

 研究会は昨年9月、初の打ち上げ実験を辺塚海岸で行ったが、到達高度は目標の400メートルを大幅に下回る約20メートルにとどまった。点火時の酸素濃度が低く、エンジンが正常に点火しなかったことが原因だった。

 改良を加え、今回打ち上げたのが「鹿児島ロケット2号機 ユピテル号」(全長2メートル50cm、直径14cm、質量約21キロ)。機体の外から酸素を供給できるように点火のしくみを改善。ロケットの羽根の形も風の影響を受けないように見直した。

 この日午後2時30分に打ち上げられると、炎を噴射しながら上昇。十数秒後に、今回の目標高度450メートルに達したとみられる。詳細な到達高度などは今後解析するという。

 実験成功を受け、片野田代表は「非常に満足のいく結果。(ロケットが)本当にまっすぐに飛んでいくんだなと思った。私の心配を知らないかのように」とほっとした表情を浮かべた。学生のリーダーで鹿児島大大学院修士課程2年の村岡慶一郎さん(25)は「打ち上げの瞬間はみんな、興奮状態。来年から社会人になるが、このチームでの経験を生かしたい」と語った。

 研究会の最終目標は、超小型人工衛星を軌道投入できるハイブリッドロケットの開発。片野田代表は「改良を重ね、7、8年後をめどに、高度100キロまで届くロケットを作りたい」と今後の抱負を述べた。(稲野慎)

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