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 あのヤバい番組が、約9カ月ぶりに地上波に帰ってくる。

 マフィア、人殺し、娼婦(しょうふ)、密猟者……。異界の住人の飯を追いかけるグルメ番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」。2017年、テレビ東京の深夜番組でゲリラ的に始まり、19年からはネットフリックスでも配信。国内外でじわじわと人気を広げてきた。 29日深夜(30日午前)1時35分に放送される最新作の舞台は、アメリカ。登場するのは白人至上主義秘密結社KKK(クー・クラックス・クラン)と黒人至上主義団体の新ブラックパンサー党の飯。「ホワイトパワー」「ブラックパワー」とそれぞれの権利を訴える双方はどんな人たちなのか。今年の米大統領選でもテーマになった人種問題が題材だ。

 今回の見どころは何か。そもそもヤバい飯をなぜ、どのように取材するのか。

 番組プロデューサーの上出遼平さんに聞いた。

拡大する写真・図版燃えさかる十字架と白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)(C)テレビ東京

 ――久々の新作公開です

 お待たせしました。約9カ月ぶりの放送です。

 今回扱うのはアメリカの人種対立。白人至上主義者によって構成される秘密結社KKKと、黒人の権利を守るために立ち上がった武装解放組織、新ブラックパンサー党の飯です。

 実のところ、ロケをしたのは今から1年前でした。

 せっかく撮ったものを1年間も寝かせていたのにはわけがあります。

 正直に言って、難しかった。

 黒人に敵意をむき出しにするKKKメンバーの言葉と、白人警官に罵声を浴びせる新ブラックパンサー党員の言葉。

 激しく血生臭い彼らのどこに事実があって、どこに虚偽が紛れ込むのか。あるいはどこにも偽りはなくて、それぞれの真実が語られているのか。

 番組はデータを出せばいいのかもしれませんが、そこに行政の恣意(しい)が紛れ込んでいるのであれば、真実の何%を表しているのかがいぶかしい。

 歴史をひもとき、事件をつぶさに観察し、言葉の一つ一つを点検しなければ伝えるべきことが見えてこない。

 短い放送時間で伝えるには、アメリカの人種問題は難しすぎる。だから、せっかくの素材をハードディスクの奥にしまいこんでしまっていました。

 ――それを今なぜ公開?

 2020年は、ジョージ・フロイド事件をきっかけに黒人差別に抗議する「Black Lives Matter(黒人の命も大切だ=BLM)運動」が激化しました。

 すでに日本の多くの人たちは聞き飽きたかもしれないけれど。

拡大する写真・図版黒人の権利を訴える新ブラックパンサー党(C)テレビ東京

 そう、聞き飽きるほど、メディアはこの問題を連日取り上げました。

 日本国内でも様々な運動が起きました。日本人になじみのあるグローバル企業の振る舞いにも、注目が集まりました。

 今しかない、と思いました。

 人種問題が対岸から飛び火してきている。そんな感覚を多くの人が共有している。アメリカで人種というものが大きな意味を持っているようだということが分かり始めた。

 そして、もしかしたらこれは自分たちと無関係の問題ではないのかもしれない。そんなふうに思う人が増えてきた。

 それで今年の締めに、これを放送することにしました。

 ――難しかった点は

 編集を進めれば進めるほど、困難にぶち当たりました。

 中立というものはあり得るのだろうか。そもそも中立である必要はあるのだろうか。

 どちらかに肩入れすることが許されるなら、どれだけ簡単だったことでしょう。

 視聴者の気持ちを操作するのもたやすい。

 どちらかの過激な物言いを取り立てて、被害者を設定し、怒りの感情を起こさせる。

 けれども、それでは「ハイパー」で扱う意味がない。

 わかりづらい世界をそのまま表現すること。視聴率競争では周回遅れ間違いなしの発想だけれど、それだけを大事にしてきたのがこの番組なのです。

 ――今までも、ギャングやマフィア、ドラッグ密売人、娼婦、密猟者、不法難民など様々な異界の人たちの飯を放送してきました。狙いは?

拡大する写真・図版燃える十字架の前に立つ白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)(C)テレビ東京

 この世は分かり易(やす)いも…

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