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 広島県警広島東署が管轄する広島市東区と府中町で、「交通死亡事故ゼロ」が1年11カ月を超え、同署の歴代最長記録を更新中だ。来月12日で丸2年に達する。署の交通課長として、部下らと取り締まりや啓発活動に取り組む。

 警察の統計上、「交通死亡事故」は事故から24時間以内に人が亡くなった場合を指す。「死亡事故ゼロ」と言っても「数週間後に亡くなった方や、一命をとりとめても障害を負った方もいる。だから、1件でも事故を減らしたい」と気を引き締める。

 35年前、制服を着る仕事にあこがれて警察官になった。初任地の広島東署新天地派出所で事故の対応をするうちに交通捜査に興味を持った。7年後に希望がかない、同署の交通捜査第1係員となった。

 事故の当事者から「犯罪者扱いした」などと心ない言葉をかけられることも。救急車のサイレンを聞くたびに人身事故でないことを祈り、辞めたいと思うこともあった。

 異動で一度、交通捜査を離れ、1年後に復帰したときに「ここで頑張ろう」と腹をくくった。交通事故遺族の手記や新聞記事を自らまとめ、定期的に読み返す。飲酒や無免許が原因の事故は「やっぱり許しちゃいけん」。大阪府警に出向して学んだ交通鑑識の知識も生かし、交通捜査の第一線に身を置いてきた。

 広島東署では昨年、道路の横断を疑似体験できる「歩行環境シミュレーター」を使った高齢者向け講座や、企業での運転者講習を積極的に開いた。今年はコロナ禍でイベントの開催が制限される中、取り締まりを強化してきた。

 「一つの交通事故で生まれるのは加害者と被害者、二つの不幸。だからこそ1件でも減らしたい。事故のない未来につながる仕事を情熱をもってやっていきたい」(三宅梨紗子)

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 4年前、県警全体で2人しかいない交通事故事件捜査の「技能指導官」に任命された。県警によると、後輩への指導や捜査のノウハウを伝える「伝承者」の役割。経験や人格も加味して選ばれるという。

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