[PR]

 佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長が、100万円とされる現金を受け取っていた問題。発覚したのは、今年1月のことだった。あれから1年がたとうとしている。何が変わり、何が変わっていないのか。

 脇山町長が現金を受け取った時期は、初当選した2018年7月の町長選直後。福井県敦賀市の建設会社「塩浜工業」からだった。約600キロ離れた土地の共通点は、「原発立地自治体」だ。

 脇山町長によると、現金は金庫に保管。受け取ってから約1年5カ月後の去年12月に返したという。関西電力高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役(故人)が、関電役員らに金品を渡すなどしていた「原発マネー」還流疑惑が表面化した後のことだった。

 「賄賂をもらった気分だった」「脇が甘かった」「後ろめたい気持ちだった」「違法性を問われても仕方ない」――。記者会見した脇山町長からは、驚くようなセリフが続いた。

 私は、脇山町長の選挙運動と政治活動に関する収支報告書を調べた。いずれにも、塩浜工業から100万円をもらったという収入の記載は確認できなかった。

 一時は進退問題も取り沙汰された脇山町長。選んだ責任の取り方は、月給79万6千円の3月から3カ月間の全額カットだった。

 市民団体「玄海原発マネーの不正をただす会」は4月、佐賀地検に政治資金規正法違反(不記載など)の容疑で、告発状を提出。地検から内容について指摘を受け、8月、さらに11月にも提出し直したそうだ。

 一方、佐賀地検は告発状を受理するかどうか、いまだに決めていないという。折しも、安倍晋三前首相の「桜を見る会」に絡んだ問題、吉川貴盛・元農林水産相の現金受領疑惑と、「政治とカネ」の問題が注目されるなか、一体どうするつもりなのか。

 脇山町長自身、収支報告書に記載していないことを認めている。私は、町の定例記者会見の度に、脇山町長に「地検から連絡はなかったか」と尋ねてきた。答えは、「何の連絡もない」が常。12月4日の会見でもそうだった。この問題を振り返るにあたり、改めて取材を申し込んだ。しかし、断られた。自分が担当する町で起きた原発絡みの「政治とカネ」の問題を、来年も追い続けるつもりだ。(渡辺松雄)

関連ニュース