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 フィギュアスケートの全日本選手権第2日は26日、長野市のビッグハットで行われ、男子フリーはショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(ANA)がフリーでも1位となり、合計319・36点で5年ぶり5度目の優勝を決めた。

 4分に羽生は思いを詰めた。

 冒頭の4回転ループを着氷すると、続く4回転のサルコーとトーループは「長年、一緒にやってくれているジャンプ」と成功。すべての4回転で出来栄え点(GOE)3・6点以上を獲得する演技だった。

 新プログラム「天と地と」は上杉謙信がモチーフ。選曲や振り付け、構成はほぼ自分で決めた。指導者の助言を直接受けられず、苦しんだ。この1年は「戦うのに疲れた」と感じ、競技をやめようと考えた時も。10月ごろまでは「やっていることがすべて無駄なのではと思い、どん底に沈んでいた」と言う。

 己を鼓舞して参戦した今大会。「天と地の間に俺がいるんだぞ」という意味を込めた出だしから、「悟りの境地に行ければ」と表現するラストまで。戦国武将の生き様を演じきった。

 例年、試合を重ねながら調子を上げ、構成を変えていく。今大会で得た感覚と対話しながら、難度を上げる可能性もある。演技後、「とにかく4回転半(クワッドアクセル)を試合で降りたい。とても険しい壁に向かって、突き進んでいるが、幻想のままにしたくない」。前人未到の大技への再挑戦を宣言した。

 羽生にとっては、また孤独と向き合う日々が始まる。ただ、確かめられたことがある。「試合があるからこそ、苦しみを乗り越えることができる。そういったものが、やっぱり好き」(岩佐友)