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 あるベテラン薬剤師は、自嘲しました。

 「薬局はパチンコの景品交換所だ、というたとえがあるんです」

 病院でもらった処方箋(せん)通りの薬と交換する。それが仕事だと思われていたからです。

 病院や福祉施設などの経営再建、支援をしている「CBメディカル」という会社があります。その社長であり、元薬剤師である廣渡弘美(42)は言います。

 「20年ほど前、わたしが勤めていたころの薬局は、そう言われても仕方なかった」

薬局、そこで働く薬剤師のリアル。全5回の連載でお届けします

医師との上下関係

 福岡県出身。小児ぜんそくの発作がはげしかった。薬を飲むと、すぐおさまる。

 「薬の力って、すごいっちゃね」

 薬のプロになろうと薬剤師に。薬局チェーンに就職、赴任先は長崎の離島だった。処方箋を書いた医師に問い合わせをすると……。

 「うるさい、忙しいんだ」

 医師と薬剤師には上下関係があった。処方箋通りに薬を出すと、かえって体調が悪くなる人がいた。

 「薬剤師は、ただの流通業者か?」

 薬剤師の資格をとって就職するまでの間、コンビニの弁当工場でバイトをした。そのときのことを思い出した。

 2002年春。流れてくる弁当のラインで、冷やし中華にひたすらゆで卵を載せていく仕事だった。

 工場には、会社をリストラされた人がいた。苦しくなった家計を支えようと奮闘する女性がいた。休憩時間に、聞かれた。

 「キミは将来、どうするんだ?」

 「薬剤師として働くつもりです」

 「立派な薬剤師になんなさい」

 「はい。薬のプロになります」

 ――

 「どこが薬のプロなんだ?」

 廣渡は、自分にできることを実行した。たとえば、杖をついて来店した高齢者がいたら、準備できた薬をその人が座っているところまで持っていき、ていねいに説明した。雨が降っていたら、車があるところまで傘を持ってあげた。

 上司からは、お小言をくらう。「時間がもったいない。患者をさばけ」

 「患者さんをさばくって、工場…

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