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 新春に初詣の参拝客で混雑する和歌山県内の神社が、参拝の分散化を呼びかけている。参拝の列をつくらない取り組みや、古くから年内に前倒していたお参りを改めてPRするなど、新型コロナウイルスの感染拡大防止策を図っている。記者が実際に訪れてみた。

 熊野三山のひとつ、熊野本宮大社(田辺市)は、「分散型の初詣」を呼びかけ、人と人の接触をなるべく減らそうと工夫をこらしている。

 本殿へ向かうため、参道の石段を上がろうとすると、中央が支柱とチェーンで区切られ、「右行き 左帰り」の表示板があった。石段などには約1・5メートルおきに白いテープが張られ、「ソーシャルディスタンス」が確認しやすい。

 本殿前に着くと、布を敷き詰めた長さ約54メートルのプール式のさい銭入れ場が設けられていた。大勢の参拝客がさい銭箱の前に列をつくらない工夫だ。

 例年、拝殿で執り行う「新年の初祈禱(きとう)」は、換気を考えて、拝殿から約700メートル離れた屋外の旧社地「大斎原(おおゆのはら)」である。訪れてみると、広々した敷地に高さ34メートルの大鳥居が立ち、開放感がある。大斎原にテントを設けて、ご朱印や縁起物の取り扱いもする。大斎原で初祈禱があるのは、132年ぶりという。

 同大社は、節分までを正月期間と考え、「混み合う三が日を避けて都合のよい時に、ゆっくりと参拝してほしい」と呼びかけた。(直井政夫)

 和歌山県海南市小野田の頭の宮「宇賀部(うかべ)神社」は、新型コロナ対策として参拝客で混み合う新年の初詣を避け、25~31日の「年末詣(もうで)」の参拝を呼びかけている。

 同神社では古くから、年末に1年の感謝を伝える参拝をして、松の内が明けてから新年の抱負を述べるために参拝する習わしがあるという。県神社庁によると、県内で年末詣の習わしがあるのは宇賀部神社だけという。

 「おこべさん」の愛称で親しまれている神社は学問の神様ではないが、頭の守護神として学業成就や受験合格で祈願する人が多い。25日午後、閑散としていた神社を訪れると、「年末詣」ののぼりが境内にあった。習わし通り氏子らは、年末に参拝し、三が日が過ぎたら改めて新年の抱負を伝えるという。小野田典生(みちお)宮司は「参拝者はいろいろな悩みを落ち着いてお祈りしている」と話す。

 神社では、これまで年末詣の周知はしていなかったが、コロナ禍で密を避ける目的から、呼びかけることにした。元旦は歳旦祭や一般の初祈禱(きとう)を予定しているが、通例のお神酒や甘酒のふるまいは取りやめた。(高田純一)