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 名古屋市南区の社会医療法人宏潤会・大同病院(野々垣浩二病院長)で今月、医療事故が起き、入院中の1歳男児が死亡していたことがわかった。酸素を取り入れるため首に装着していた気管チューブが外れ、適切な救命措置がとられなかったとみられる。病院は調査を始めたが、遺族は第三者による原因究明を求めている。

 死亡診断書によると、男児は17日午前9時55分に急性心不全で死亡した。首に開けた穴から気管に通す呼吸用チューブ(カニューレ)が外れ、呼吸困難になったとしている。

 遺族が26日に受けた病院側の説明によると、男児に異変があったのは午前7時40分ごろ。男児の血中の酸素状態や心拍を測る機器が警報音を発した。当時、名古屋市の児童相談所から派遣されて男児をみていたヘルパーや、看護師は病室にいなかった。

 その後、戻ったヘルパーが男児の異変に気付いて看護師を呼び、医師も駆け付け、5人で救命措置にあたった。緊急用の気管チューブに2回交換したが、チューブが気管内に入っていない状態で酸素を注入し、酸素が入ってはならない胸部に注入し続けていたという。男児は約2時間後に死亡した。

 当初の気管チューブは体内で外れたとみられるが、看護師らは外見で固定されていると判断していた。病院側は「どの段階で外れたかは分からない」とした。

 遺族によると、男児は昨年11月、未熟児で生まれ、今年5月、気管切開の手術を受けた。気管チューブを着けて家庭で生活し、動物園などへの外出も元気に楽しんでいた。大同病院の主治医と看護師が約2週間ごとに家庭を訪れ、男児を診察していた。成長は良好で、来月下旬には首の切開部をふさぐ手術を受け、チューブ無しでの生活を始めることが決まっていた。

 大同病院は、看護する家族の心身の疲労を減らすため、病院が一定期間子どもを預かる「レスパイト入院」を導入している。男児は14~18日の予定で預けられていた。

 男児の父親は「気管チューブは子どもの命綱。様子がおかしい時は、最優先に装着状況を確認するべきだ。病院の管理態勢はずさんすぎる。家庭でみていたら絶対にこんなことにはならず、命を救えた」と不信感を募らせる。

 大同病院の朝生和光事務局長は、朝日新聞の取材に「現時点でお話しできることはない。ご遺族には真摯(しんし)に対応する」と話した。(嶋田圭一郎)