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 トランプ米大統領は27日、総額約9千億ドル(約93兆円)の追加経済対策を盛り込んだ法案に署名した。議会が政権側と事前調整した上で可決したものの、トランプ氏が突如「恥知らずの法案」などと主張し、成立を遅らせていた。影響力を誇示する思惑があったとみられるが、政権末期の迷走をいたずらに際立たせる結果となった。

拡大する写真・図版選挙集会で演説するトランプ大統領=2020年12月5日、ジョージア州バルドスタ、ランハム裕子撮影

 関連法の成立に伴い、今春に次いで米国史上2番目の規模の財政出動が始まる。追加対策は中小企業向け支援や国民1人当たり600ドル(約6万2千円)の給付金が柱だった。これに加えて、総額1・4兆ドル規模に上る2021会計年度(20年10月~21年9月)の連邦政府の歳出法(予算)もあわせて成立した。

 もしトランプ氏が署名を拒み続けていれば、週内にも住宅関連の給付が途切れて生活困窮者が立ち退きを迫られたり、政府機関の一部が閉鎖されたりする可能性があった。新型コロナウイルスが猛威を振るい続けるなかで、給付金の支給も遅れることになる。今後の政治動向を左右する来年1月5日のジョージア州の上院選決選投票で、トランプ氏の属する共和党に不利に働きかねない状況だった。

 トランプ氏は27日の署名後にも、要求していた給付金600ドルを「2千ドル」に増額する案について上院が協議を始める、などと一方的に主張する声明を発表。しかし、米紙ワシントン・ポストは「虚偽の主張と不平のリスト」にすぎないとの見方を示し、「任期が残り1カ月を切ったトランプ氏の要求を、議員たちは無視するだろう」と報じた。(ワシントン=青山直篤)