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 正月と言えば、凧(たこ)あげ。香川県さぬき市津田町には、「イカ」と呼ばれる凧がある。

 正しくは「桝イカ」。豊作や豊漁を願って揚げるのは、津田町では古くから「イカ」だった。

 絵柄は、長方形の和紙の中央に、ひし形と円が描かれる。ひし形は一升枡、円は一斗枡を表す。

 桝イカを50年ほど制作している地元の中野薫さん(79)によると、1993年、地元の凧好きの仲間らが「津田松原凧の会」を結成。翌年から凧揚げ大会を開いており、全国の凧師や地元の子どもが150人ほど集まるという。

 津田町で凧を作るのは現在2人で、桝イカを作るのは中野さんだけだという。

 「子どもの頃は近所のみんなが桝イカを揚げていた。自分がいなくなって、作られなくなると思うとさみしい」と話す。

 イカと呼ばれる凧は高松市や奈良県など、全国の他の場所にもあるという。

 どうしてタコなのにイカなのか。

 凧の博物館(東京)の職員、福岡正巳さん(63)に話を聞くと、「元々イカだったのがタコになったんです」。中国から遣唐使船に乗って日本に伝わり、江戸時代までは「いかのぼり」と呼ばれていたという。

 タコになった理由は諸説あるが、庶民の間で流行し過ぎたため、幕府が「いかのぼり禁止令」を出した。反発した庶民が「これはイカじゃなくてタコです」と、へ理屈を言って遊び続けた、とする説が有力という。(平岡春人)