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 【広島】オウム真理教が1995年に起こした地下鉄サリン事件で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に関連する精神的症状や目の不調などの身体的症状が長期間改善されない実態が、広島大学の調査で分かった。同大は「後遺症や長年の健康障害が科学的に明らかになった」としつつ、継続調査の必要性も指摘した。

 同大大学院医系科学研究科の杉山文助教(疫学・疫病制御学)や、事件後に司法解剖に立ち合った長尾正崇教授(法医学)らのグループの分析結果を、同大が今月10日に発表した。

 事件翌年から被害者の検診を続けるNPO法人「リカバリー・サポート・センター(RSC)」(東京都)が集めた2000~09年(10年分)の質問票を活用。被害者の1割超、当時13~70歳の計747人(男性平均42・7歳、女性30・3歳)を対象にした。

 精神的症状は「眠れない」が30・1~38・7%、「怖い夢を見る」が24・2~35・6%で推移。PTSD関連症状の10年間の有病率は35・1%(男性28・4%、女性43・3%)で、「有病リスクは時間が経過しても低減しない」との結果が示された。

 身体的な症状は「目が疲れやすい」が63・1~81・2%、「目の焦点を合わせにくい」が45・8~64・8%、「頭痛がする」が49・0~54・8%などだった。

 RSCの木村晋介理事長は、長期ケアの必要性が示されたと指摘。慢性的に様々な症状に不安を抱える被害者にとって「サリン由来と確信ができ、事件と自分との立ち位置をしっかりとらえられる心理的効果が大きい」と評価した。(北村浩貴)