[PR]

 悩みから急に学校を飛び出して行方不明になっていた小学6年の少年を見つけて保護したとして、福岡県警糸島署は24日、佐賀トヨペット唐津店の営業スタッフ、坂本祐也さん(27)に感謝状を贈った。少年は凍(い)てつく寒さの冬の海辺を3キロ以上さまよっており、船やヘリコプターが出動する大捜索のさなかだった。

 11日午後9時20分ごろ、坂本さんは福岡県糸島市内の友人宅から、佐賀県唐津市の自宅へ車で帰宅中、休憩のために国道202号沿いの二丈パーキングエリア(糸島市)に立ち寄った。すると、半袖半ズボン姿の少年から「いま何時ですか?」と声をかけられた。周囲にはキャンピングカーなど車数台が駐車しており、親が近くにいると思った。

 だが、よく見ると少年は靴を履いておらず、きょろきょろと周囲を見渡していた。心配になり、「何してるの?」と尋ねると、少年は「逃げ出してきた」と返した。「お母さんか警察に電話しようか。どっちがいい」と尋ねると、「お母さんだとちょっと……」。ネットで調べ、電話番号が出てきた西署に連絡した。

 周囲の気温は約9度。海沿いで強い風が吹きつけ、上着を着ていても肌寒い。警察が到着するまでの間、坂本さんは少年に自分の上着を貸そうとしたり、車の中で待つことを勧めたりしたが、断られた。

 そこで、近くの自動販売機で温かいココアを買ってあげた。はじめは小さな声だったが、人気アニメ「鬼滅の刃」の話になると、冗舌になった。

 少年が午後4時ごろに学校を飛び出した後、学校から連絡を受けた母親が110番通報、県警が捜していた。学校が海に近く、転落している可能性もあるとして、唐津海上保安部や糸島市消防本部も加わり、船2隻とヘリも出動していた。その捜索も午後10時でいったん打ち切られる予定だった。少年が見つかったのはその直前のことだった。

 糸島署の有馬健一署長は「夜遅く、冷え込んでいた。もう少し遅ければ命にかかわっていたかもしれない」。坂本さんは「少年がお母さんの元へ帰れてうれしい」と喜んだ。(宮坂知樹)