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 医療費の窓口2割負担をめぐり、菅義偉首相は75歳以上の対象者を広げることに意欲を見せた。だが、そこに連立与党のパートナーである公明党が待ったをかける。首相と公明党の「緊迫の8日間」が幕を開けた。

 菅政権が発足して約3カ月。政府と与党が初めて激しく衝突したのが、75歳以上の医療費窓口負担の問題だった。一定数の医療費を「2割負担」に2022年度後半から引き上げることが、昨年12月に決定。攻防の過程で、「自助・共助・公助」を唱える首相の思想が垣間見えた一方で、菅政権が今後も直面するであろう社会保障政策での火種も浮かんだ。決着までの1カ月。政府・与党を巻き込んだ激論の舞台裏を追った。

12月2日

公明党の反発、「総理はかたくなだ」

 政府が当初、引き上げの決定を目指した全世代型社会保障検討会議の最終会合が2日後の4日に迫った2日午前、公明の竹内譲政調会長らは、加藤勝信官房長官のもとに緊急の申し入れをした。

 「コロナ禍によって、状況が大きく変化している。年末までに拙速に結論を出すのではなく、引き続き、検討・分析することを強く要請する」

 公明はコロナ禍での負担増の議論が、次期衆院選や来夏の東京都議選に影響することを懸念。11月に入って、常任役員会で「(決着を)先送り」に決めていた。

 しかし、まさにこの日午後、官邸では首相と官房長官・財務相・厚労相の協議で政府方針は公明の想定よりはるかに厳しい「4案」に固まったとの情報が駆けめぐった。「総理はかたくなだ」(公明幹部)。首相と公明党の方針が対立する構図が明確になった。

 自公で対立する政策では、調整役を担うのは政調会長だ。竹内氏は3日、自民党の下村博文政調会長と会談。公明幹部によると、交渉の過程で下村氏は「公明案を出してくれれば、自民は乗る」と、竹内氏に誘い水を向けた。

 そこで公明は、政府の示す五つの案のうち、最も対象者が少ない「単身世帯の年金収入で200万円以上」(対象人数約200万人)の案を示した。だが、下村氏はそれ以降、「首相の意向は固い」と繰り返すようになる。公明にしてみれば、はしごを外された形だった。

12月4日

「首相のメッセンジャーか」

 決着が見えない中で4日、政府…

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