[PR]

 コロナ禍で生活困窮者が増える中、年末年始を路上で過ごす人たちを支援しようと、東京都府中市の市民グループ「府中緊急派遣村」が29日、市内で見回り相談や食料の配布活動を始めた。初日の夜、記者が活動に同行してみると、その日暮らすのが精いっぱいというところまで追い込まれた人の窮状が垣間見えた。

 「寒い中、つらいですね」

 午後10時すぎ、京王線府中駅のペデストリアンデッキ。地面にビニールを敷き、毛布を頭までかぶって寝ていた男性に、「府中緊急派遣村」の松野哲二・共同代表(71)が声をかけた。男性は起き上がり、驚いた表情で「大丈夫ですから」と繰り返した。松野さんは男性の前に座ってバナナと缶詰を手渡し、「どうしたいですか?」。男性は身の上を話し始めた。

 北海道出身の60歳。工場勤務を転々としていたが生活が苦しく、2年ほど前にアパートを出た。地元にいるきょうだいとは、連絡をとっていない。今は、都内で日雇いの警備員をしてスーパーで割引の総菜を買い、路上で寝る生活だ。コロナ禍で日雇いの仕事も減ったという。

 メンバーは駅のガード下に開いた相談ブースに、男性をいざなった。男性は、ポリ袋をたくさんぶら下げた手押し車をひきながら、ぽつりと言った。「何とか生きられるだけの仕事をしてきたけど、生きているのがつらいです」

 ブースで温かいレトルトカレーを振る舞われると、男性は「信じられない」とつぶやいた。松野さんは「色々な方法があるから一緒に努力しましょう」。路上生活者らに一時的な宿泊費を出す「東京アンブレラ基金」を使って年明けまでビジネスホテルに泊まることを提案し、男性は受け入れた。年明けに役所が開庁するのを待って具体的な支援策を探ることにした。

 松野さんは3月以降、市内で3人の路上生活者を見つけ、生活保護につないできた。都の調査によると、今年8月時点の都内の路上生活者は877人。内訳は23区内550人、市町村18人、国管理の河川敷309人だった。松野さんは「コロナ禍で住まいを失う人は今後も増える可能性があり、対策が必要だ」と話す。府中市や立川市などで計5回実施した相談会では、収入減に伴う生活苦など、約200件の相談が寄せられたという。

 「府中緊急派遣村」は1月2日、3日も同様の活動を行う。午後8時から市内の公園の見回り、午後10時から30分間、府中駅の西側ガード下で食料配布と無料相談会を行う。問い合わせは松野さん(090・3085・7557)。(加藤あず佐)