拡大する写真・図版植樹式であいさつするエティエンヌ・ド・モンティーユさん(右)=2019年7月19日午前10時39分、北海道函館市桔梗町、三木一哉撮影

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 2019年7月、北海道函館市。市中心部から北へ10キロ、函館湾を一望できる丘陵地に、壮年のフランス人男性が立った。

 世界屈指の最高級ワインの産地・フランス東部ブルゴーニュ地方で300年近く続くワイナリーの当主、エティエンヌ・ド・モンティーユさん(57)。この地でワインをつくることを決め、ブドウの植樹式を迎えていた。フランスの老舗ワイナリーが函館の地を選んだ背景には、忍び寄る「地球温暖化」の影があった。

 外国資本のワイナリーが日本に進出するのは初めてのことだ。植樹式には北海道や函館市の職員ら約200人が参加していた。あいさつに立ったモンティーユさんは、興奮した面持ちで語った。

 「ブルゴーニュのノウハウと、この土地を知る日本の人々が力を合わせて世界に通用する素晴らしいワインをつくりたい」

拡大する写真・図版ブドウの苗木を植えるエティエンヌ・ド・モンティーユさん=2019年7月19日、北海道函館市桔梗町、三木一哉撮影

 ブドウ畑は東京ドーム8個分にあたる約37ヘクタールを確保した。1年目は2.5ヘクタールに赤ワイン用の「ピノ・ノワール」と白ワイン用の「シャルドネ」の苗木を植えた。毎年3ヘクタールずつ作付面積を増やし、初収穫は23年、ワインの出荷は25年を見込む。

 1本数万円のワインをつくる老舗にとっても、国外への進出は初めてのことだ。

 ブドウの収穫時期が年々早まっている――。モンティーユさんをはじめブルゴーニュのワイン生産者の実感を裏づける調査結果が19年8月にまとまった。ブルゴーニュ大学などの専門家が、直近30年間の収穫時期と、地元の教会に残る記録をもとに過去600年間の収穫時期を比べたところ、平均で13日早くなっていた。

 ブルゴーニュのワインの繊細な味わいを特徴づけているのは、ブドウの酸味だ。ブドウが熟しすぎると酸味を含めた味わいが変わりかねない。

元銀行員の当主の新たな挑戦

 「温暖化を実感している。気候変動の課題に対処するために農業慣行を適応させる必要がある」

 モンティーユさんは投資銀行の仏BNPパリバでM&A(企業合併・買収)に携わった異色の経歴の持ち主でもある。銀行マンさながらに、将来のリスクに手を打つことにした。ブルゴーニュで伝統的なワインづくりを続けながら、新たな挑戦として国外への進出を模索し始めた。

 14年ごろからブルゴーニュ大…

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