育苗ハウス損傷、田植え遅れる恐れも 大雪の農業被害

佐藤仁彦
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 昨年12月以降、暴風雪や積雪の重みで園芸栽培のパイプハウスが潰れるなどの農業被害が秋田県内で増えている。水稲用の育苗ハウス被害は少なくとも約630棟あり、県は田植えの時期までに苗が間に合わない事態を懸念。農家への技術指導など支援策を検討している。

 県は1月26日、農業関係の担当者ら約30人を集めた会議を開催。25日時点で農業被害額が約10億5千万円を超えたと報告した。特に内陸南部の雄勝、平鹿地域で被害が多いという。

 県が確認している農業用施設の被害は約2500棟。会議では、稲の育苗ハウスが壊れ、JAに資材を発注したものの田植え時期が遅れることを心配している農家の存在が話題になった。中には、大豆への転作を検討し始めた農家もいるという。

 県水田総合利用課によると、育苗ハウスの不足を補うには、近所の農家同士で稲の苗を融通し合うのが最も効率が良いという。JAの広域連携にも期待する。県は農業試験場などで蓄積してきた育苗技術の情報を農家と共有し、6月初旬までに田植えを終えられるよう後押しする。

 積雪の多い地域で県が農家に勧めているのは、ハウス周辺の除排雪や融雪剤の散布だ。破損したパイプは速やかに補修してほしいという。ハウスの復旧が間に合わないと、育苗箱(縦約30センチ、横約60センチ)を置く面積が足りなくなる。

 県の会議では、1枚の育苗箱にまく種の量を増やす省力育苗(高密度播種〈はしゅ〉栽培など)の技術を使い、育苗箱の使用枚数を減らす工夫が紹介された。高密度播種苗に対応した田植え機の使用が前提となるが、一つの農家が他の農家の分の苗も育てることを想定する。

 一方、県内で技術体系が確立されていないが、ハウスを使わない選択肢もある。種をまいた後、育苗器で加温し、芽が出たら、露地に育苗箱を並べ、水に浸して育てる「プール育苗」という手法だ。霜害を避けるため、育苗箱の設置場所に気をつける必要はあるが、横手市で過去の取り組み事例があるという。

 県は、県議会の2月定例会に、育苗ハウスの復旧経費支援を含む補正予算案を提出する。県農林水産部の齋藤正和次長は「農家の皆さんがなんとか来年も営農を諦めず、前向きに頑張れるよう、必要な支援をしていきたい」と話す。佐藤仁彦