第6回デジタルからの置いてけぼり 最高齢プログラマーの提言

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西村圭史
【動画】政府が加速させるデジタル化に高齢者らから懸念=西村圭史撮影
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新型コロナは、人々の暮らしを変えました。苦境に立つ人たちをどう支えるか。声は政治に届いているのでしょうか。シリーズで考えます。

 人との接触が制約される「新たな日常」は、社会にデジタル化を迫っている。政府は「行政サービスもスマートフォン一つで」と推進の旗を振るが、取り残される人はいないのか。

「パソコンとは全然違うね」と苦笑

 昨年11月末、石川県加賀市の市民ホール。15人の高齢者がスマートフォンと格闘していた。隣には講師役のボランティアや携帯ショップ店員。「これを押せばいいの? これを?」。ある70代の主婦は何度も講師に聞き直しながら、電源の入れ方から教わっていた。

 スマホでクーポンを示して買い物をしている人を見て「自分は損をしている」と感じる。かといってスマホを買っても使いこなせる自信はない。マイナンバーカードもつくったが、使い方は分からない。「行政サービスのデジタル化」と報道で見るたび不安になる。

拡大する写真・図版講習に参加した高齢者らは講師役からスマートフォンの使い方を習った=2020年11月27日午後、石川県加賀市、西村圭史撮影

 別の60代の無職男性も、電車の乗り換え検索などのためにスマホを使えるようになりたいと講習を受けた。「パソコンとは全然違うね」と苦笑する。

 講習は、政府の「デジタル活用支援員推進事業」。全国12地区で実証中で、今後、全国展開を目指す。会場を歩き回っていたのが、ゲストとして神奈川県藤沢市から呼ばれた若宮正子さん(85)だった。政府の有識者会議「デジタル改革関連法案ワーキンググループ(WG)」の構成員だ。

拡大する写真・図版パソコンで資料を示しながら話す若宮正子さん=2020年12月11日午後、神奈川県藤沢市、西村圭史撮影

 講習は約1時間半。指導員が1対1で対応する形式に、若宮さんは「初心者に対して正しいやり方だ」と感じた。一方で不安も抱いた。他の地域でも支援員の人数は確保できるのか、高齢者の指導には専門的な知識もいるのに教育体制は十分なのか、と。

高齢者が学ぶ厳しさも知る

 若宮さんは高卒で銀行に勤め、定年退職前にパソコンを買って独学で学んだ。81歳のとき、ひな人形を正しく並べるゲーム「hinadan(ひな壇)」を開発し、世界最高齢のプログラマーと呼ばれた。「年寄りだってやればできる!」がモットーだ。

 重症化しやすい高齢者が在宅…

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