童話の猫のように知恵絞って 靴磨きで起業、自立を支援

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山崎琢也
写真・図版
靴磨き会社「革靴をはいた猫」を立ち上げた魚見航大さん=2020年12月9日午後、京都市中京区、筋野健太撮影
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 粉引き職人の父を失い、兄2人は、粉引き小屋、荷物を運ぶロバを相続した。末っ子がもらったのは一匹の猫。境遇を嘆く末っ子から長靴を与えられた猫は、知恵を絞って難題に挑む――。

 だれもが知っている童話「長靴をはいた猫」。魚見(うおみ)航大(こうた)さん(26)は4年近く前、この童話から社名を採り、靴磨き会社「革靴をはいた猫」を設立した。革靴を預かり、技術と情熱で挑戦する職人の姿を猫に重ね合わせた。

「自立したい」思いに応えるため

 高校時代は「努力する人を冷ややかな目で見るような学生」だった。だが、龍谷大に入り、学内のカフェ「樹林(じゅりん)」で働く人たちと交流を重ねるうちに意識は変わっていった。調理などを担う障害者から「障害はあるが、社会で活躍したい」と訴えられた。自立への強い思いを聞き、自ら応えたいと考えるようになった。

 ある日、カフェを運営する京都府向日市社会福祉法人「向陵会」の河波(かわなみ)明子さん(63)から「靴磨きがいいんじゃない?」と背中を押された。職人として技術を身につければ、障害の有無にかかわらず、一生続けられるのではないか。そう考え、大阪市内の靴磨き専門店に飛び込んだ。

 約1年半、靴磨きの技術を学び、カフェで教えた。靴磨きは「心みがき」。要望に応じて、光沢の具合などを細かく調整して磨く。店頭に立てるようになったのは、修業を始めて半年ほどたってからだった。

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御池通で営業する「革靴をはいた猫」=2020年12月25日午後3時36分、京都市中京区御池通御幸町西入、山崎琢也撮影

 起業は素人。インターネット…

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