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 太平洋戦争前夜の神戸を舞台に巧みなサスペンスを描き、昨年のベネチア国際映画祭銀獅子賞を受けた「スパイの妻」。そのロケ地の一つで「旧グッゲンハイム邸」の名で知られている洋館は長年、別人の邸宅と取り違えられていた――。映画もかくやのどんでん返しの事実が昨夏、判明した。

 海と山に挟まれた神戸市垂水区塩屋町のランドマークである旧グッゲンハイム邸は、著名ミュージシャンのライブやイベントの会場などとして親しまれる。2階建てのコロニアル様式で、明治・大正期に塩屋に滞在したドイツ系アメリカ人貿易商ジェイコブ・グッゲンハイム氏の邸宅だったと考えられてきた。

 だが昨年6月、北隣にある「旧ライオンス邸(旧竹内邸)」に解体・改修の可能性があると知った日本建築学会近畿支部が保存要望書の提出に向けて調査する過程で、旧グッゲンハイム邸の土地台帳にグッゲンハイム氏の名前がないことが判明。旧グッゲンハイム邸はトルコ出身のユダヤ人、ジェイコブ・ライオンス氏の邸宅として1908年ごろ建てられたもので、グッゲンハイム氏が住んだのは同時期に竣工(しゅんこう)した旧ライオンス邸の方だったとわかった。

 二つの洋館は、少なくとも69年の建築雑誌の論考では既に取り違えられており、80年発行の同学会「日本近代建築総覧」にもそのまま記載されていた。グッゲンハイム氏は、米グッゲンハイム美術館で知られる一族の遠縁にあたるという。

 実は、伏線は5年前にあった。…

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