第4回親子で食事まで2年 ひきこもりの子に「お供え」やめた

有料会員記事ひきこもりのリアル

高橋淳

拡大する写真・図版「引き出し」ビジネス④ グラフィック・米澤章憲

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 もう何年も姿を見せない息子。「それが先日、自ら部屋を出て、親子で食事をしたんです」

 60代の母親が静かに話し始めると、長テーブルを囲む他の父母たちが目を潤ませた。

 山口県宇部市のNPO「ふらっとコミュニティ」が毎月開く教室「家族心理教育実践編」。ひきこもりの子がいる父母ら10人ほどが集まり、子どもの心理や日頃の接し方を学んでいる。

 この日報告をした母親は、2年前から教室に通い始めた。息子の部屋のドアの前に食事を置く「お供え」をやめ、「ごはんできたよ」とさりげなく声をかける。部屋から出ている気配に気付いても、普段通りに振る舞う。小遣いをきちんと渡す――。教室で学んだ対応の仕方を一つひとつ実践するうちに、少しずつ息子の様子が変わってきたという。

 NPOの理事長で山口大大学院教授(保健学)の山根俊恵さんは「外に出そう、就労させようと焦るのは逆効果。でも、何もしないでいるとあっという間に10年が経ってしまう。親たちが変わることで必ず家族関係は変化する」と話す。

拡大する写真・図版子どものひきこもりに悩む親たちの話に耳を傾ける山根俊恵・山口大教授=山口県宇部市、藤脇正真撮影

 山根さんは精神科の元看護師。「行政の窓口や保健所に相談しても、話を聞いて終わり」「精神科の医師に相談したら、本人を連れてこいと言われた」――。ひきこもりの家族に共通する悩みを知り、精神障害者支援の場として運営していたNPOで2015年から、ひきこもりの当事者や家族の支援を本格的に始めた。

「引き出し屋」と呼ばれる業者の実態をルポする連載。悩む当事者や家族に出口はないのか――。4回目は、「引き出し屋」のやり方とは根本から異なるNPOの取り組みや、ひきこもり状態から抜け出した男性の体験を報告する。

 親たちはまず、6回の基礎講…

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