ADHDの私、少し誇らしく 元公務員のプロボクサー
大平要
スケジュール管理ができない。書類の数字を、頻繁に1ケタ間違える。上司に何度も質問してしまい、「分からないことはまとめて聞いて」と繰り返し注意を受ける――。
千葉県船橋市役所に就職した2012年は、緑川愛(アイラ)さん(36)にとって散々だった。仕事がうまくこなせない。残業も増え、体もしんどい。心療内科で、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断を受けた。一人暮らしの部屋にこもり、仕事も休みがちになった。
ふさぎ込むのには、もっと大きな理由があった。前の年の8月、半年前に結婚したばかりの夫が、オートバイの事故で亡くなった。エアロビクスのインストラクターだった緑川さんに、公務員を勧めたのは彼だった。それが、仕事を辞めない理由でもあった。
転機は16年の夏。結婚前まで通っていたボクシングジムの先輩に、近所のコンビニでばったり会った。
「元気? 試合見に来てよ」…
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