クロウサギのリハビリ兼展示施設整備へ 大和村

奄美通信員・神田和明
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 鹿児島県奄美大島の大和村が、国の特別天然記念物アマミノクロウサギの研究飼育施設を整備する。交通事故やほかの動物に襲われる事例が相次ぐ中、傷ついた個体の保護とリハビリを担う施設と位置づけ、2024年度のオープンを目指す。

 クロウサギは奄美大島と徳之島だけに生息する絶滅危惧種。両島にはけがをした個体を受け入れる専門施設はなく、動物病院などでの治療後、鹿児島市の平川動物公園に移し、野生復帰に向けたリハビリを行うことが多かった。

 地元での治療やリハビリを望む声などを踏まえ、大和村は17年度から有識者らでつくる検討委員会で施設のあり方などを協議。整備に向けた基本計画を策定し、昨年12月の村議会に関連予算5580万円を提案し、可決された。

 基本計画によると、環境省奄美野生生物保護センター(同村思勝)に隣接する「まほろば水と森公園」の敷地内に、鉄筋コンクリート平屋建ての施設(敷地面積約700平方メートル)を整備する。治療やリハビリのための設備のほか、来客がリハビリ中のクロウサギを観察できる設備、生態を調べる研究室なども備える。総事業費約5億円で、22年度着工を目指すという。

 村は奄美大島などの世界自然遺産登録を見据え、この施設を観光客誘致にもつなげる考え。ただリハビリ施設のため、展示可能なクロウサギがいない場合も想定される。事故などに遭った個体は死んだ状態で見つかることが多いためだ。そこで村は、クロウサギに特化した展示を充実させる方針。伊集院幼(げん)村長は「奄美の良さを発信する施設にしたい」と話し、野生センターの阿部慎太郎所長は「連携してできる協力はしていきたい」とする。

 クロウサギは近年、森の回復やマングース駆除などで生息域が拡大傾向にある一方、観光客の増加などに伴って車にひかれて死ぬ「ロードキル」が増加。奄美大島では20年に、年間で過去最多の47匹(12月28日時点)が犠牲になった。猫や犬に襲われる被害も続いている。(奄美通信員・神田和明)