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 (5日、全国高校ラグビー大会準決勝 桐蔭学園《神奈川》40―12大阪朝鮮《大阪第2》)

 大阪朝鮮の選手たちは「使命」を抱えて第100回の大会を戦い抜いた。

 流通経大柏(千葉)との準々決勝。4点リードの最終盤に、自陣ゴールラインをすぐ後ろに背負って、相手の強力FW陣の猛攻を受けた。10分間にもわたって耐え続け、ノーサイドを迎えた。準決勝では、前回王者の桐蔭学園相手に臆することなく、低く刺さるタックルを重ねた。後半に突き放されたが、前半は12―12と互角に戦った。

 2大会ぶり11回目の出場。今大会が3度目となった4強が最高成績だ。激戦区の大阪で強豪の一角と目されるのに、部員減の危機感を抱えている。主将のナンバー8金勇哲(キムヨンチョル)は「どんどん学生数が減っている。ぼくら部員は39人しかいない。難しい状況です」と言う。OBでもある権晶秀(コンジョンス)監督(39)は「高校の生徒数は私のころは約600人だった。今は約200人。20年で3分の1になっています」。

 権監督は「ぼくは在日3世。この子たちは4世。世代を重ねるとだんだん日本社会に同化していく。(朝鮮学校に通う生徒が)減っていくのは自然な部分もある」と話す。朝鮮学校は学校教育法で「各種学校」に位置づけられ、高校無償化から除外されている。このため、近年は学費の高さから敬遠されている面もあるのではないかとも権監督は考えている。

 そんな逆境のなかで3年生を中心に部員たちが掲げていたテーマが使命なのだという。

 89回大会(2009年度)から94回大会(14年度)の間の6大会で、大阪朝鮮は4度も8強入りした。その姿を見てラグビーを始めた選手がいまの3年生には多い。「ぼくらが小さいころ見た朝高(ちょうこう)の姿をぼくらが花園で見せて、小さい子たちに朝高でラグビーをしたいと思ってもらう」。それが自分たちの使命だと考えた。

 小学生の頃に見た先輩たちは、最後まであきらめず、激しいプレーを貫いていた。そんな姿に近づけるようにと、30メートルダッシュ50本などの苦しい練習を乗り越えてきた。

 初の決勝進出こそ逃したが、苦しい試合を制し、強敵にもひるまなかった。「ぼくらができるプレーは全部した。ぼくらの強い意志は見せられたと思う」。金勇哲はそう言った。使命を果たせたのかが、わかるのはまだまだ先のこと。ただ、「朝高ラグビー、ここにあり」という姿ははっきりと見せた。(内田快)