第9回孤独を癒やすお好み焼き ハノイに根付いた「家族の店」

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ハノイ=宋光祐
【動画】日本人から引き継いだ店で「広島風お好み焼き」を作る夫妻 @ベトナム=宋光祐撮影
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 ハノイの日本大使館の真向かいに、一軒のお好み焼き屋がある。名前は「家門(かもん)」。イラン人の夫メダさん(53)と、ベトナム人の妻マイさん(50)が店頭に立つ。

拡大する写真・図版できあがった広島風お好み焼き。「日本のお客さんはネギが好きだから、いつもネギを大盛りにする」とメダさん=ハノイ、宋光祐撮影

 カウンター席の鉄板で焼くのは、生地に山芋を入れた関西風と、キャベツたっぷりの広島風。どちらも外国流のアレンジはない本格派のお好み焼きだ。店の奥には漫画が並ぶ本棚やテーブル席もあり、日本の下町のお好み焼き屋を思わせる風情がある。

 過去10年間で急速に経済発展したベトナムで外国人が増えるにつれて、日本人だけでなく欧米人やイスラム圏の人たちも足を運ぶようになった。「イラン人とベトナム人のお好み焼き屋なんて、他にどこにもないでしょ」。メダさんはそう言って笑う。ハノイでお好み焼き屋を営んでいることに、誰よりも驚いているのは当人たちだ。

拡大する写真・図版お好み焼きをつくるマイさん(左)とメダさん=ハノイ、宋光祐撮影

 テヘラン出身のメダさんは1988年まで続いたイラン・イラク戦争に徴兵で通信員として参加した後、大学で考古学を学んだ。終戦間もない母国で将来への希望が見いだせず、日本に向かったのが91年。イラン人は当時、観光目的であればビザなしで3カ月間、滞在できた。労働力が必要な日本では就労許可がなくても仕事が見つかり、実際はその多くが就労目的で来日していた。メダさんも日本にいた大勢の出稼ぎイラン人の一人だった。

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