自民党が頭抱える細野豪志氏の処遇 決断は変節か信念か
旧民主党で要職を務め、いまは自民党二階派の細野豪志衆院議員(49)。派閥入りから2年近くたっても、正式な党員にはなれていない。自民静岡県連は入党に強く反発し、野党も批判を強める。細野氏の決断は変節なのか、信念なのか。衆院選が近づくなか、有権者には迷いもある。
昨年12月12日午前。細野氏は静岡県富士市の公民館にいた。学生団体が衆院静岡5区の立候補予定者を招いた討論会に参加。結びのあいさつでこう言った。「中国にどう向き合うか。安全保障でちゃんと向き合えるため、皆さんの将来のために、立場を変えた」
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政治をめぐる身近な課題をぐるっと深掘り
米国と覇権を争う中国を引き合いに、県内の有権者らに政党を変えたい理由を説明した。細野氏は学生たちの話に耳を傾け、若者の投票率や電子投票などの政治の課題を解説した。
静岡東部で7期連続で当選。2017年には希望の党の結成メンバーだったが、党勢が伸びずに事実上解体。行き場を失った細野氏は19年1月、自民幹事長の二階俊博氏が率いる二階派への入会を認められた。二階氏は野党出身の議員をも取り込み、勢力拡大を狙う。
「二階派だが自民党員ではない」 対立より複雑に
細野氏は地元で、「自民党国会議員」としての活動をアピールする。
討論会の2カ月前の10月中旬、静岡県函南町の会議室。細野氏を囲む企業経営者ら支援者約20人が集まり、昼食会を開いた。細野氏は「今年に入ってから私が呼びかけ人になって、勉強会を毎週やっています」と、自民党の中で一定の役割を果たしていることを暗に示した。
また、菅義偉首相が官房長官のころから政策を提言してきたと説明し、今回は積極的な金融政策や国民1人あたり5万円の定額給付金を提案したことを明かした。この昼食会の1週間前に、要望書を持って行ったとも述べた。
支援者との昼食会は、一昨年の1月までは隔週で開かれていた。だが、細野氏が自民入りを模索する表明をして以来、コロナ禍も重なって間が空いたという。それでも支援者の一人は「そもそも党を関係なく、細野さんを支持してきた。やはり人間性。国会議員としてこの地域を見てくれている。政党は僕らの問題ではない」。抜けたメンバーもいないという。
しかし、細野氏の動きに対し…
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