化粧した妻、白のワンピース姿…願いと信じて首を絞めた

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森下友貴
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 死を願う19歳年下の妻を絞殺したとして、嘱託殺人罪に問われた男(68)が昨年11月、神戸地裁で執行猶予付きの有罪判決を受けた。男は妻の願いと信じて首を絞めたというが、今は妻のいない自宅で独り苦しんでいる。専門家は2人の社会的孤立を指摘する。

 昨年11月に神戸地裁で出された判決によると、男は昨年8月5日、兵庫県伊丹市の自宅で、妻(当時49)から自身の殺害を頼まれ、ロープで首を絞めて殺した。懲役3年執行猶予5年(求刑懲役4年)だった。

 野口卓志裁判官は「短絡的な犯行で結果は重大」とする一方、「妻が真剣な態度で強く殺害を依頼し、『応じるしかない』と思い込んだことには同情の余地がある」として、執行猶予を付けた。

 検察側の冒頭陳述や弁護側の最終弁論などによると、2人は1992年ごろに仕事を通じて知り合い、96年に結婚した。休日はショッピングセンターで一緒に妻の服を選んだ。ただ2年ほどすると、妻は顔の肌が病気で荒れ始めた。コンプレックスからか、心を病んだ。「死にたい」と口にする妻を、男がなだめる日々が始まった。

 男も2005年ごろに脳梗塞(こうそく)を発症。生活保護を受けながら妻と向き合った。子どもはいない。「手足となって面倒を見よう」。妻はひざの持病もあって車いす生活となり、食事から排泄(はいせつ)の世話までこなした。

 男は数年後、うつ病と診断された。妻の精神状態も悪化し、リストカットが始まった。「殺して」と取り乱すようにもなった。

「生まれ変わっても一緒になろうね」

 事件の2日前。ペットの犬のえさ代を巡り口論になった。翌日。妻はスマートフォンで、「夫に殺害を依頼した」という内容の動画を撮影し始めた。

 事件当日の朝。男が犬の散歩から帰宅すると、化粧した妻が白のワンピース姿で待っていた。

 テーブルには、遺影のための…

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