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 「ファイルにしたら、みんな持ち歩くと思う」。そんな学生の一言が、新型コロナウイルス感染防止対策の新商品を生んだ。近畿大(大阪府東大阪市)と地元の紙製品メーカーが開発した「ファイル De(デ) ガード」だ。昨年末に発売された。

 再生紙を使った段ボール製で、ファイル状に折りたたんで持ち運べる。重さは175グラムで、たたむと高さ42センチ、幅24センチとコンパクトだ。広げると、三方の長さは計96センチ。食事や授業、自習の場などに置くことで、飛沫(ひまつ)感染の防止をめざす。

 東大阪市で段ボール製品を手がけるマツダ紙工業の松田和人社長(57)が昨年8月、大学生の子がいる親から「置くだけで使える飛沫防止シートはないか」と問い合わせを受けた。中小企業との連携授業に取り組んできた近大経営学部の文能(ぶんのう)照之教授(57)に相談し、3年生3人が開発に協力することになった。

 松田さんは「学生が普段使いできる商品」を考えてほしいと要望した。3人は具体化に向けて議論を重ねた。1人が「ファイルにしては」と提案した。

 「ファイル」の内側に二つのポケットをつけ、A4判のノートやプリントを入れられるようにした。ポケット上部の空きスペースには、思いついたことを付箋(ふせん)に書き留めて貼るという活用法も発案した。

 開発に参加した田中竜希(りゅうき)さん(20)は「細かなところに気を配ることが大切だと気づいた」と振り返る。

 ファイルの内側は、自習中に目の前に立てても気にならないベージュとグレーにした。最初の案は明るい緑だったが、試してみると「集中できない」と気づき、温かな色に変えた。

 学生にはものづくりの現場を知る機会になった。高瀬いづみさん(21)は「身近な悩みに耳を傾け、世の中の課題にすぐ対応できるところに魅力を感じた」。将来、自分もメーカーで働きたいと思い始めた。

 山﨑(やまざき)舞さん(21)は「自分たちの思いつきが商品になっていく過程が楽しかった」。商品開発部門がある企業への就職をめざしたいという。

 文能さんは「どこに焦点を絞ってアイデアを出したらよいか難しかったと思うが、企業のニーズにしっかり応えられた」と学生たちの成長を感じている。

 1個税込み990円で、府内の文具店などで販売中だ。マツダ紙工業のサイトやアマゾンでは4個以上のセットで販売している。(花房吾早子)

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