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 何だこの生き物は!?

 池の中をうねうねと泳ぐベージュ色の細長い物体。長さは1メートル以上ある。それを見た男性は思わず網を出し、すくい上げた。

 大阪府堺市中区の府立大中(なか)百舌鳥(もず)キャンパス。

 実はこれ、助教の山野彰夫さん(30)がつくった「ヘビ型ロボット」だ。池で泳がせる実験中、生き物と間違えられて「捕獲」された。

 ヘビのように動くロボットは、これまでも多くの研究者が挑んできた。水道管の中やがれきが多い災害現場の偵察など、幅広い分野で活躍が期待されている。

 そんな中、山野さんがめざしているのは「宇宙」だ。

 広大な宇宙空間には、生命の存在が期待されている星もある。人類が将来探査するとなれば、岩場や水中、シャーベット状になった氷の上など、厳しく、多様な環境に適応した装置が必要だ。「どんなところでも探査できるロボットが目標です」と山野さんは力を込める。

 子どもの頃から、操縦できる玩具が大好きだった。「ゲーム感覚で、モニターを見ながら実際のフィールドを遠隔操作できるのが楽しい」

 ただの操縦好きでは終わらない。小学生のときには早くも、有線で動かす車からロケット花火を発射する装置を自作し、実験を成功させた。

 その後も操縦好きは変わることなく、友人らと相撲ロボットをつくって大会に出場したこともある。ただ、ロボットを定められたステージの上ではなく、外のフィールドで動かしたいとの思いが徐々に募っていった。

 現在研究中のヘビ型ロボットは直径10センチで、体長が1・5メートルと細長く、重さは5・5キロ。線虫の動きを参考にしてプログラムしており、体をくねらせたり、波打つようにしたりして前に進む予定だ。

 野外実験では、ゴム製の防水カバーをつけ、上からさらにナイロン製のベージュ色の布をかぶせて抵抗を減らしている。

 現在の研究とは関係ないが、将来のことを考えて先端にはカメラをつけた。モーターが13個あり、体に負荷がかかると、うねりの山の数が増え、体をたくさんくねらせて乗り越えていく仕組みだ。

 見た目はヘビに似ているが、実はヘビは神経系が複雑で再現が難しい。現時点ではそこまでの動きを必要としていないため、研究対象からは外している。

 ただ、「木に登るといった動作を目指す段階に入れば、ヘビの動きを研究する必要があるかも」と山野さん。

 研究は、運動プログラムをつくっては実験とシミュレーションを繰り返す。現在は、水から泥など、抵抗が極端に変化した場合に対応できる運動パターンを探っている。

 今後は、ロボットを軽量化しつつ強度を高め、リモコン操作なしでも動けるようセンサーを搭載することを考えているという。

 苦労も多いが、実験結果とシミュレーションが一致すると喜びを感じる。成果をまとめた論文が学会誌に掲載されたときは、「研究が認められたと思え、一番うれしかった」と話す。

 だが、目標はもっと先にある。「100台目か200台目かはわからないが、開発したヘビ型ロボットが星の探索に行くときが、本当に楽しみです」(後藤泰良)

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