核開発を続けるイランが、核合意を大きく逸脱する濃縮度20%のウラン製造に踏み出した。米国に制裁緩和を促す目的があるとみられるが、核合意への復帰に前向きな米国のバイデン次期政権をも刺激しかねず、先行きはさらに見通せなくなった。
イラン原子力庁の報道官は4日夜、中部フォルドゥの地下施設で濃縮度20%のウランを製造し始めたと改めて明言した。「濃縮度20%まで以前は24時間以上かかっていたが、新技術の導入で12時間でできる」。この日は遠心分離機に130キロ余りの低濃縮ウランを挿入したという。
ウラン濃縮度を20%まで高めれば、核兵器に必要な90%の高濃度ウランを短期間で製造できるとされる。
ロイター通信によると、イスラエルのネタニヤフ首相は同日、「軍事的な核開発を進める動きだ。イランによる核兵器の製造を容認しない」との声明を出した。
慎重なイランの思惑は
2002年に核兵器の開発疑…