激励禁止、追試も… 中学受験生への配慮、余念なく

山田健悟 長富由希子
[PR]

 首都圏の4都県に緊急事態宣言が出される中、私立中学の受験シーズンも近づいてきた。近畿2府4県では、16日から入試が始まる。各校では、「3密」回避のため、学習塾の関係者が受験生を学校前で激励する「慣例」を禁じたり、出題範囲の縮小や追試日といった受験生への配慮をしたり。新型コロナウイルスへの対応に余念がない。

 「最悪の事態を想定して準備してきたが、まさかこのタイミングで緊急事態宣言が出るとは」。西大和学園(奈良県河合町)で入試の準備や感染対策を進めてきた担当者は戸惑う。

 同校は広く生徒を集めるため、2003年から県外の会場でも入試をしている。今年は北海道や広島、福岡など全国6カ所で準備。初っぱなとなる東京の試験日が、まさに首都圏の4都県に緊急事態宣言が出される8日とぶつかった。

 東京会場では、200人超が受験する見込みで、もともと飛沫(ひまつ)を防ぐためのパネルを1600枚用意する予定だった。会場に入る前の検温なども徹底する。この担当者は「受験生に少しでも安心してもらえるよう、全力を尽くすしかない」と話した。他の会場では予定通り試験をする予定という。

受験者数に影響は?

 甲陽学院(兵庫県西宮市)は今年に限り、本試験の約2週間後に追試日も設ける。本試験の当日にコロナに感染していたり、37・5度以上の熱があったりした場合が対象。高槻(大阪府高槻市)は、一斉休校による学習の遅れに配慮し、5教科のうち、理科と社会の一部の単元を出題範囲から除く。「休校による動揺を受験生に与えないよう、ぎりぎりの判断をした」と広報担当者は話す。

 「時差集合」を求めるのは、大阪星光学院(大阪市天王寺区)。試験開始は16日午前9時10分の予定だが、約750人の受験生の集合時間を同7時45分、同8時、同8時15分の3グループに分けた。

 学習塾の関係者が試験会場前に集合し、旗やのぼりを掲げるなどして塾生を激励する中学受験の「慣例」も減りそうだ。関西を中心とした中学受験の大手「浜学園」(兵庫県西宮市)には、「3密」を避けるために、学校側から「激励」の自粛を求める連絡が相次いでいる。渉外担当課長の山田晃一さんは「子どもの緊張をほぐすための非常に重要な行事なのに。できないとなると塾生たちへの影響が大きい」とため息を漏らす。

 新型コロナは受験者数にも影響を与えるのか。近畿の私立中学への出願は近年微増傾向にあり、昨年は約1万8千人が出願した。

 関西の中学受験の情報を分析する総合教育会社ユーデックは、中学受験の人気は根強く、コロナ禍でも受験者の総数に大きな変化はなさそうとみている。

 一方で同社によると、京阪神の最難関校には毎年、首都圏など全国各地から受験生が集まる。同社教育研究所の萩原淳平所長は「長距離移動を伴う受験を避ける動きも出ており、こうした学校では受験生が減るのではないか」と話した。(山田健悟)

親に勧める「大丈夫だよ」の声かけ

 試験本番でわが子が実力を発揮するには? 家庭教師グループ「名門指導会」代表の西村則康さんに聞いた。

 入試が近づくと「落ちたらどうしよう」と不安になる子は少なくない。入試直前の時期は「勉強以上に、子の気持ちを整えることが大切」という。親には常に「大丈夫だよ」と子を肯定することを勧める。学力面で不安があっても、「こういう勉強に変えると合格できそうだね」と言いかえるようにしたほうがいいという。「そんな勉強だと受からない」といった否定的な声かけはむしろ自信を奪うからだ。志望校が追試を設けるかどうかなどの情報収集や感染対策以外は気にせず、いつも通りに過ごすことが大切という。

 慣れない環境に緊張する子もいるため、試験当日をイメージトレーニングしておくのも良いという。「起床して、家を出て、他の受験生に交じって校門をくぐり、試験の開始を待つ。こうした想像を何度もしておくと、当日落ち着きやすくなりますよ」。試験用紙が配られてから開始までの間に、深く息を吸ってゆっくり吐くことを繰り返して落ち着く方法もあり、事前に自宅で練習しておくと良いという。長富由希子

私立中学試験の感染対策の例

(神戸市東灘区)

・学校HPでも合格者を発表

甲陽学院(兵庫県西宮市)

・コロナ感染の受験生らに追試験の機会

・1教室あたりの受験生を例年の約40人から30人に減らす

四天王寺(大阪市天王寺区)

・試験日は来校後に検温。平熱なら「検温確認テープ」を手首に巻いて受験

・コロナ感染の受験生らに追試験の機会

高槻(大阪府高槻市)

一斉休校の影響を踏まえ、理科と社会の出題範囲を縮小

洛星(京都市北区)

・試験当日の朝の検温結果や体調を記入するチェックシートを用意。提出を義務づける

・コロナ感染の受験生らに追試験の機会

同志社女子(同市上京区)

・試験日の1週間前から体温測定を求める

・コロナ感染の受験生らに追試験の機会

     ◇

 朝日新聞デジタルはコロナ禍の中で受験に挑む皆さんを応援するため、1月8日以降配信の受験関連の記事を当面の間、原則無料で公開します。