住民投票条例案を横浜市議会委員会が否決

武井宏之、松沢奈々子
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 【神奈川】横浜市へのカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致をめぐり、市議会政策・総務・財政委員会は7日、誘致の賛否を問う住民投票を実施するための条例案を賛成少数で否決した。条例案は8日の本会議でも同様に否決され、住民投票は実施されない見通し。

 この日の審議は5時間以上に及んだ。冒頭で、住民投票実施を求めて19万筆を超える署名を集めた人たちを代表し、かながわ市民オンブズマン代表幹事の大川隆司弁護士ら3人が、地方自治法に基づく意見陳述を行った。

 大川氏は、2000年に実施された吉野川可動堰(ぜき)建設の是非を問う徳島市住民投票を例に挙げ、「IRの是非を住民投票で決めることは住民主権の実現であり、その実現により横浜市民であることに対する誇りが生まれる」と訴えた。

 前横浜港運協会長の藤木幸夫氏が立ち上げた「横浜港ハーバーリゾート協会」の水上裕之氏は、藤木氏の代理として意見を述べ「山下ふ頭にはふさわしい開発の可能性がたくさんあるのに他の選択肢を検討せず、ばくち場・カジノ設置前提で暴力的に推し進めるのはおかしい」と批判した。

 「カジノの是非を決める横浜市民の会」共同代表の藤田みちる氏は、「コロナ禍で、3密を避けながら、どのような街を作っていくのか市民はじっくりと考え始めている。カジノの街で暮らしたいのか市民に聞いてほしい」と語った。

 意見陳述を受けて市議らが意見を交わしたが、住民投票の実施をめぐる議論は平行線をたどった。

 最大会派の自民党・無所属の会は「横浜IRの詳細はまだ決まっていない」(松本研氏)、公明党も「住民投票は今後、検討を重ねていくことが必要」(竹内康洋氏)と難色を示した。

 一方、第2会派の立憲・無所属フォーラム(立民フ)は「自分の街のことを考えるきっかけになる」(小粥康弘氏)、共産党も「市民はIRの是非を一度も問われていない」(荒木由美子氏)と賛意を示した。

 無所属の豊田有希氏が「コロナ禍の状況で急いで結論を出さなくてもいい」と継続審議を提案したが、賛成少数で否決。議案採決では、委員長を除く10人のうち、立民フ2人、共産1人と豊田氏の計4人が賛成。自民4人と公明2人の計6人が反対に回った。武井宏之、松沢奈々子)