高まる景気の二番底リスク 「決断遅れ、かえって悪化」

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中島嘉克、小出大貴 山本知弘、榊原謙
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 コロナ禍でも経済を重視してきた政府が、2度目の緊急事態宣言に踏み切った。外食など消費に近い産業では、営業縮小の動きが広がりそうだ。経済全体への悪影響は、戦後最悪のマイナス成長につながった前回ほどではないとの見方が強いものの、落ち込みは避けられない。昨年夏から回復基調にあった景気が腰折れし、「二番底」に向かう懸念も強まっている。

営業縮小の飲食 スーパー大手は在庫を増強

 政府が飲食の場を感染拡大の「急所」とみていることを踏まえ、居酒屋チェーンを含む外食大手はおおむね、1都3県にある店の営業時間を、政府の要請通り午後8時までに短縮する見込みだ。

 また、午後8時以降の不要不急の外出自粛の要請を背景に、百貨店大手は営業時間を短くし、閉店時間を午後7~8時に前倒しするところが多い。

 一方、スーパーやコンビニの多くは通常営業を続ける。

 昨春の緊急事態宣言の際には、パスタや米など保存の利く食料やトイレットペーパーといった衛生用品が品薄になった。こうした教訓からスーパー大手は在庫を通常より増やしている。

 イオンは7日、カップ麺やマスクなどをふんだんに仕入れた物流施設(千葉県野田市)を報道陣に急きょ公開。消費者に冷静な買い物を呼びかけた。

 政府が企業に求める「出勤者の7割削減」を受け、在宅勤務テレワーク)は大企業を中心にこれまで以上に進みそうだ。

 日立製作所は、1都3県にある拠点の出勤率を現在の30%前後から15%以下にする目標を掲げる。人事や広報、財務などの部署で在宅勤務をさらに徹底する。東京海上日動火災保険のように、出勤した社員に午後7時までに退社するよう促す企業も多い。(中島嘉克、小出大貴)

個人消費を直撃 GDPは再びマイナス成長か

 飲食やレジャーなど、外出を伴うサービスへの支出を控える動きが広がると、国内総生産(GDP)の半分以上を占める個人消費を直撃する見込みだ。

 1都3県を対象とする今回の緊急事態宣言の影響について、大和総研は、実質GDPを1カ月あたり0・9兆円押し下げると試算。個人消費の落ち込みは0・7兆円で、全国が対象だった前回の宣言時と比べると、6分の1程度という。

 前回は個人消費だけでなく輸出や設備投資にも深刻な影響が及び、昨年4~6月期の実質成長率は年率で30%近いマイナスを記録した。今回は活動が制限される地域や分野が狭いため、落ち込みもそこまでではないとの見方が大勢だ。

 ただ、コロナ禍の長期化で景気回復のペースは力強さを欠き、GDPの水準もコロナ前にはほど遠い。専門家からは、2度目の宣言が重しとなり、再びマイナス成長に陥るとの予想が相次ぐ。足元の21年1~3月期の成長率について、大和総研は年率マイナス0・3%と見込む。三菱UFJリサーチ&コンサルティングはさらに厳しく、マイナス2・5%だ。

 同社の小林真一郎氏は、今回の宣言について「景気に配慮して決断が遅れ、かえって景気を悪化させることになった」と指摘。1カ月で感染拡大を抑え込めず、宣言の延長や地域の拡大に追い込まれることを心配する声も根強い。そうなれば「景気の二番底リスクは急速に高まる」(大和総研の神田慶司氏)という。

今回の宣言で失業者8.6万人上積みの恐れも

 景気の先行きが一気に不透明…

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