凄腕しごとにん
エイワ 北本工房長 水沼貴裕さん(35)
紳士スーツの国内工場は「絶滅危惧」の状態だ。国の統計によると、従業員4人以上の工場は79カ所(2018年末時点)。20年前の3分の1以下に減った。職人は高齢化が進み、若手が育つ場は少ない。
そんな中、この5年間で、働き手の平均年齢が49歳から39歳に下がった縫製工場が埼玉県北本市にある。ビジネススーツの銀座英國屋(東京)の子会社、エイワの北本工房だ。工房長の水沼貴裕さん(35)は、5年で15人もの若手を採用して育成。今では、職人64人の半数を30代以下が占める。
それを可能にしたのが「グループ縫製」だ。顧客の体形に合わせて作るフルオーダースーツは、かつては職人が1人で縫い上げる「丸縫い」が主流だった。ところが、複雑なスーツ縫製の全てに習熟するには時間がかかり、才能があっても10年で一人前になれるかどうかという。職人のなり手が減り、高齢化した原因ともされる。
入社1年で見込まれた腕
そこでエイワでは、1973…