岡村喬生さん死去 89歳、日本を代表するバス歌手

 日本を代表するバス歌手で、俳優としても活躍した岡村喬生(おかむら・たかお)さんが6日、慢性腎不全で死去した。89歳だった。葬儀は親族で営んだ。喪主は長男康生(やすお)さん。

 東京生まれ。新聞記者を志して入学した早稲田大のグリークラブで声楽に目覚め、28歳の時にイタリア留学。仏トゥールーズ国際声楽コンクールで優勝し、オーストリアやドイツの歌劇場の専属歌手になり、欧州各地の劇場で活躍した。

 1979年に帰国し、テレビ番組の司会など、クラシック音楽の枠を超えた活動を展開。欧州での音楽修行を洒脱(しゃだつ)な筆致で活写した自伝「ヒゲのオタマジャクシ世界を泳ぐ」を出版した。

 オペラを庶民が気軽に楽しむ娯楽にすることに情熱を傾け、台本・演出を自ら手がけた日本語オペラの上演や、ピアノ伴奏だけで歌う安価な「省エネオペラ」に取り組んだ。2001年、NPO法人「みんなのオペラ」を設立。プッチーニの「蝶々夫人」が「日本文化の誤認をもたらす」と訴え、「新国際版」と名付けた改訂版を03年に東京で初演。11年にはイタリアのプッチーニ・フェスティバルでも上演した。

 シューベルトの歌曲集「冬の旅」の歌唱をライフワークとし、80年から2018年まで連続演奏会を続けた。俳優としてもNHK大河ドラマ徳川慶喜」や伊丹十三監督の映画「静かな生活」などに出演した。