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 新型コロナウイルス感染症の患者が入院を拒否した場合、罰則を設けることについて厚生労働省が検討を始めた。8日、政府・与野党連絡協議会で明らかにした。18日に開会する通常国会で感染症法改正を予定。刑事罰を想定しているという。

 感染症法では、都道府県知事は新型コロナの感染者に必要がある場合は入院を勧告でき、従わなければ強制的に入院させることができる。ただ、従わなかった場合に罰則はない。入院が必要なのに拒否したり、入院先を無断で離れたりするようなことがないようにする措置。昨年7月末には埼玉県内で入院していた男性が無断で外出し、一時行方不明になったこともある。このほか、保健所による行動歴などの調査に協力しなかった場合の罰則についても検討する。

 感染症法の罰則では、エボラウイルスなど危険な病原体をまくなどした場合に、「無期もしくは2年以上の懲役または1千万円以下の罰金」があるが、入院拒否などに対する罰則は盛り込まれれば初めてとなる。検疫法では、検疫による隔離中や、感染の恐れがあって停留中に逃げた人には、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の刑事罰が科せられる。

 政府・与党内には、入院勧告や強制的な入院を拒否した場合、「懲役1年以下か100万円以下の罰金」、保健所の調査に協力しない場合にも「50万円以下の罰金」を科す案も浮上している。一方、野党からは罰則に慎重な声もあがった。共産党の田村智子参院議員は「入院させてほしくてもできない事態があるのに、拒否する人に対する罰則の議論をするのか」と疑問を示した。

 また厚労省は、軽症や無症状者の宿泊療養と自宅療養を感染症法で規定することも改正法案に盛り込む方針だ。これまでは法的な位置づけがなく、通知で対応していた。法律に位置づけることで、宿泊療養や自宅療養の実効性を確保できることが期待される。

 厚労省はこのほか、保健所設置市の患者の情報を都道府県が把握できない問題などを解消するため、保健所の追跡調査結果を都道府県と市などが共有できる仕組みの導入も検討する。(姫野直行、西村圭史)